2006年8月アーカイブ

北岳バットレス4尾根に行ってきました。メンバーはおおたに、もりした、わかざわ、おの、たけのうちの5人。
僕は百名山ハンターでは無いですが、実は北岳に登ったことが無いので北岳ピークのおまけ付き。

およそ1年半ぶりの本ちゃんなので、リハビリ中の力試しには願ってもない絶好のルート。誘ってくれたメンバーのみんなに感謝感謝。ガチャ類で20kg程になったザックを自宅で背負い、アルパインクライミングをかなり実感・・・

8/19 1日目


自宅(4:30)~芦安(7:00)~広河原(8:30)~白根御池~テント設営~二俣~バットレス沢出合(12:30)~bガリー取付手前(12:45)~白根御池(14:00)

早朝4:30に出発、高速で中部縦貫道白根ICまで行き、芦安の市営駐車場へ。夜叉神より先はマイカー乗り入れ禁止なので、ここでバスへ乗り換え。7:30のバスに乗り込み、1時間ほどで広河原へ。

広河原から白根御池までは、ゴルゴタの丘に登るよごとくの荷揚げで、アプローチは皆へばり気味でしたが、所々に咲く花が唯一の癒しだった。途中に4尾根を登ってきたパーティに出会ったが、その方達の話によると、dガリーから取り付いたものの、トラバースのバンドが崩壊していて、所々ある細いシュリンゲを頼りに恐る恐るトラバースしたとのことで、bガリーからの取り付くことを勧められる。

3時間ほどで白根御池着。小屋は雪崩で流されて以来のプレハブから改築されたばかりで、木の香漂うかっこいい小屋でした。ちなみに肩の小屋の喧噪とは裏腹に白根御池小屋はガラガラだそうです。
早速テントを張って、おおたに、もりした、たけのうちの3人は取り付きの偵察に。

無人トイレのある二俣を経由して、顕著な大岩のあるバットレス沢出合へ。一般登山道と見まがうようなバットレス沢の右岸の踏み跡を×印にそって辿る。

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<大樺沢の雪渓>


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<バットレス沢出合の大岩>

沢を詰めていけば、自然にbガリー大滝にたどり着けそうだったので、途中で偵察終了。
二俣で出会った8人パーティーは風の谷の山田哲哉さんのパーティで、我々同様、明日バットレス4尾根を登るそう。小屋に戻るとアルパインクライマー系のテントが2張りほどあった。夏の土日は渋滞が出来るとの記録が多いので、なるべく早く取り付かなくては・・

早めに帰還してしまったので、早速宴会モード。小屋のビールは500mLで700円で、比較的良心的な値段。僕はビールをボッカしてきましたが、この値段なら小屋で買っても良いかも。

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<宴会中之図>

若さんの牛丼&サラダ、マタギさんの塩もみを腹に収めて、お楽しみの山談義に花を咲かせた後、18:40就寝。バーゲンで買った薄っぺらいシュラフで寒くないか心配でしたが、むしろテント内は人いきれで暑く、シュラフにもぐると寝られませんでした。

8/20 2日目
2:00起床、マタギさんが生キャベツ入りわかめスープを全員分作ってくれて、各自準備した飯と一緒に速攻でかき込む。外へ出てみると満点の星空、天候は上々。

2:55テン場出発。程なくして二俣に付き、大樺沢上を見上げると、2パーティ先行しているようだ。先頭パーティーはかなり先を行っている。一体何時に小屋を出たのだろうか。2番目のパーティーはすぐ前を行く。大人数なので昨日会った風の谷パーティだろう。


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<夜間行軍>

我々も沢沿いに高度を稼ぐが、後続はパーティはいないようなので、あきらめてのんびり行くことに。バットレス沢からのアプローチもそれほど苦労せずにbガリー大滝に到着(5:00)。前のパーティーはやはり風の谷グループで、我々が到着したときにはすでに最後の1パーティが登り始めようとしていた。

下部岸壁は若さん、たけのうちの順で登り、先行パーティーは左上する草付きへ草付き奥の脆いガリーに取り付いており、落石の雨あられである。比較的安全な場所へ待避し、後続のマタギパーティを待つため小休止。ガイドブックでは先行パーティが登っているガリーではなく、ガリー右の緩い傾斜帯をcガリー側にトラバースすることになっているが、崩れていてとても行けそうにない。しかたないので、先行パーティーと同じようにガリーを詰めるが、ボロボロで安定したホールドが見つからない。一人ずつ登る。僕を含む3人はノーザイルで行ったが、途中でロープを出した。ここはロープを出すのが正解だろう。危険すぎる。

Cガリー側に懸垂で降り、ガレたCガリーを横断、壁にペンキで「4」と書かれたヒドンスラブを経由して取り付きテラスへ。

1P目(若)
クラックからフェースを登る。クラック最初の3mがやや難しい。

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<1P目リード中の若さん>


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<いつも穏やかなリーダー・またぎさん、1P目ビレイ点にて>

2P目(たけのうち)
所々草が付いたフェース。特に難しいところは無いが、ルートが曲がっているのでロープの流れを考えなければならないが、久しぶりだったのでうまく伸ばせず、若さんに指摘を受ける。ありがたい。
このピッチは、最後右に回り込んだところがビレイ点なのだが、ロープの流れが気になって手前でピッチを切ってしまった。その後正規のビレイ点まで若さんリード。

3P目(たけのうち)
通称「白い岩のフェース」と呼ばれる、やや逆層気味のフェース。それほど難しくはないが、ホールドを探すのにそれなりに苦労してしまう。後続の若さんは「階段だった」。登り込みの足りないのかな・・
正規のビレイ点を少し越した小さなテラスのハイマツでビレイ。

4~5P目(若)
コルを越えて核心部の三角形の垂壁へ。さすがの若さんも慎重に登っているが、彼女お得意の「じりじり登り」で、しっかりと正面突破。
後続するも足がが滑りまくり。右に回り込むと行けそうだったが、結局もっと楽なA0で正面突破(笑)。

マッチ箱までのリッジは高度感があり楽しい。
マッチ箱先端には懸垂ポイントが2つ有ったが我々は先端から、後続のマタギパーティは手前のポイントからDガリー側のテラスへ降りる。渋滞用のバッファだと思うが、空いてれば手前の方が良い。

隣のDガリー奥壁のスラブに1パーティ取り付いている。どうやらオフィスアルパインの大森さん(ガイド)のようだ。後続のお客さんに細かく指示を出している。
Dガリー奥壁のそのピッチはスラブの中にすっきりと入ったクラックが格好良い。

6P目(たけのうち)
クラック沿いにIV級のフェースを登る。このくらいの難度のピッチが一番充実感がある。

7P目(若)
左に回り込んで枯れ木テラスまでは階段状態。

8P目(たけのうち)
最終ピッチの光栄にあずかる。技術的には何でもないところ。バルジを越える手前にビレイポイントが有るが、そのままバルジを越えて、大テラス直下のハイマツでビレイ。(ロープの長さが足りず、大テラスまでは伸ばせなかった。)
若さんと握手を交わし、後続のマタギさんを待つ。

5人が合流したところで、ロープを外して大テラスで大休止。
Dガリー奥壁を登ってきたパーティーは、やはりガイドの大森さんでした。
山頂までの情報に加えて、剣のあるルートの情報ももらいました。今度そのルートの支点整備に行くとのことで、挑戦してみるといいよとのこと。来年夏あたりそのルートに行ってみようと思います。どこのルートかは来夏までお楽しみに。

終了テラスからはお花畑の中を15分ほどで山頂に到着。握手を交わす。

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<北岳山頂にて>

草滑り経由で白根小池に帰還。逃げ足は速く、広河原には16:10到着。到着直後に乗り合いタクシーのおじさんが声をかけてくれてすぐに出発でき、16:50には芦安の駐車場に帰ってこられた。白峰会館の温泉で汗を流して帰路につく。

おかげで順調にリハビリクライミングをこなすことが出来ました。
みんなありがとう!

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8歳の息子・ゆうきと赤岳へ。

当初富士山に行くつもりだったのだが、単調な登りと人の多さに辟易し、逆に登山を嫌いになってしまっても困るので、行き先を赤岳に変更。赤岳なら鎖場もあるしテント泊もできるので、息子の冒険心も満足できるだろう。

1日目

美濃戸口(10:50)~美濃戸(11:50)~行者小屋(14:50)

家族旅行も兼ねているので、美濃戸口の八ヶ岳山荘まで妻に送ってもらう。
本当は美濃戸まで入りたかったのだが、妻に悪路を走らせるのも気が引けるので林道を歩く。
ゆうきは小さい頃とは打って変わって30Lのザックを背に元気に歩いている。小学3年生ともなるとずいぶん脚力もついているようだ。実はすぐにバテると踏んでいて、自分は息子の荷物を丸ごと持てるよう80Lのザックを持ってきたのだが杞憂だったかな。

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行者小屋までの3時間、すれ違う人からの「何年生?すごい荷物だね」「頑張って!」の声に、息子は終始ニコニコ。

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行者のテン場は大混雑。あと30分つくのが遅かったら、張れないところだった・・
幸い静かな場所が空いていたので、エスパース・ミニを張る。エスパースを使うのは5年ぶりだ。

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晩飯はアルファ米にレトルトカレーという、チョー手抜き飯だったにもかかわらず、「山のご飯っておいしいんだね。いくらでも食べられる!」と言われてしまい、少々罪悪感を覚える。(ごめん、次からはまじめにメニュー考えるね・・)

2日目

行者小屋(4:55)~地蔵尾根~赤岳南峰(6:50)~文三郎尾根~行者小屋(8:35)~テント撤収~行者小屋(9:15)~美濃戸(11:45)~美濃戸口(12:30)

昼には下山して諏訪の花火大会を見に行きたかったので、4時起床、明るくなってきたのを見計らって出発。
地蔵尾根を夏に登るのは初めてだったが、鎖場もきちんと注意だけ喚起していれば、小学生なら特に問題ない。

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程なく赤岳展望荘に到着して、来し方を振り返らせると、それなりに感激している様子。シメシメ・・こちらの読み通りだ。

6:50 抜けるような快晴のなか、赤岳南峰に到着。

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山頂から南アルプスが一望できる。今週末に登る北岳バットレスに想いを馳せつつ特大休憩。

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下りは文三郎道を下り、赤岳主稜へのトラバースポイントで休憩し、自分のモチベーションも高めつつ、行者小屋へ。
テントを撤収して、一気に下ろうと思いきや、ここに来て足が痛いと言い出す。様子を聞いてみると、どうやら単なる筋肉痛のようなので、なだめすかし、美濃戸山荘でトマトも頬張らせつつ、美濃戸口まで駆け下りる。「今度はまた沢登りをしたい」との弁。どこか計画しようか。

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下山後、諏訪に移動し、夜は諏訪湖の花火大会。
4万発のすばらしい花火で、充実の登山&家族旅行でした。

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会のマタギさん、おがたさんと一緒に三つ峠へ。
一応、北岳バットレス4尾根に向けた手順の確認(マタギ、たけのうち)&本ちゃんに向けたトレーニング(おがたさん)との位置付け。

7:00に裏三つ峠駐車場待ち合わせだったが、バイクで向かった僕は時間を読み間違え、いきなり15分の遅刻(すみません・・)。マタギさんは先日の大荒川谷で肋骨を痛めたそうで、あまり無理はできないとのこと。

8:30登攀開始。

一般ルート右(III+)(たけのうち)
まずは準備体操をかねて、簡単な一般右をたけのうちがリード。駆け上がれるくらい余裕のはずだが、朝一番なので体が思うように動かない。

クーロワール(V)(おがた)
目の前に広がるクーロワールは一見して良いルートだとわかる。最後の抜け口が微妙そうだ。おがたさんリード。慎重に抜けたところでピッチをいったん切る。おおたにさん、たけのうちの順でフォロー。お助けひもは使わずにステミングで抜ける。確かにピッチグレードはV級くらいだ。

第2バンドは右の壁を抜けて左に回り込んだところで、マタギさんがリード。出だしの一手が難しいが、絶妙なガバがあり、それを見つければ終わり。壁を回り込んだらビレイ点まではI~II級。

No.18クラック(I~II)(マタギ)
I~II級のルートだが、ベテランマタギさんのリード希望で登ることに。通常は天狗の踊り場から第2バンドにクライムダウンするときに使うルートで、僕自身下りるのみで登ったことは無かったのだが、意外におもしろい。

天狗の踊り場11:00。3人で手順を確認しながら行ったとはいえ、時間かかりすぎかな。3回の懸垂で下りて昼食。

直登カンテ1P目(IV/A2)(たけのうち)
たけのうちの希望で人工ルートで少し遊ぶ・・ハズでしたが、全然遊びになってませんでした。30分くらいだったでしょうか、身体中のグリコーゲンを使い果たしてしまいました・・・

中央カンテ
13:10 気を取り直して本日メインの中央カンテへ。

登山道~第1バンド(III+)(マタギ)
実は左上する階段を登ればノーザイルでもOKだが、せっかくなので直登するルートをマタギさんがリード。

1P目(III)(おがた)
おがたさんリード。左上するきれいなランペをたどる。特に技術的な困難は無いので、クライミングスピードを課題にしてフォローする。

2P目(IV+)(たけのうち)
たけのうちリード。このルートの核心部であるクラック。おもしろいようにジャミングが決まる。足はいっぱいあるので余裕。初めて来たときは、このピッチはセカンドで、かなりビビリながら登ったなぁ、と回想に耽りながらビレイ点へ。そのままピッチを切らずに行くことも可能だったが、おいしいところはマタギさんに譲ることに。

3P目(IV)(マタギ)
中央カンテのクライマックス。マタギさんリード。以前登ったときはほとんどガスに覆われて高度感は感じられなかったが、今日は初のドピーカン。気持ちの良いくらいに下が切れていて、すばらしい高度感だ。ハング下を左に回り込み、カンテ上にルートをたどる。カンテ上はガバだらけなので、どこでもルートが取れ、3人3様思い思いのルートで終了点で握手。(12:40)

高所恐怖症を忘れるくらいの気持ちよさを思う存分堪能して懸垂下降。終了点から第1バンドまでは50mロープ1回で下降可能。

今回は3人だったが、ツルベよりいろいろ工夫していかないとどんどん時間が過ぎてしまう。今日の中央カンテで3人の手順がずいぶん整理できたので、後ほど別のエントリーでまとめる予定。
三つ峠で見る限りでは、おがたさんも本ちゃん合格ラインだ思います。

下山後は厚木の花火大会に間に合うようにバイクをかっ飛ばして帰る。
今日は家族サービスデーだったにも関わらず、気持ちよく送り出してくれた妻に感謝感謝。

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