アルパインクライミングの最近のブログ記事

八ヶ岳2日目です。

 

前の晩から断続的に突風と雪が天幕をたたき続けるなか、3:30起床。

トイレに起きるとしんしんと雪が・・・

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鉱泉から硫黄に向かうトレースも完全に消えてしまっています。

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今日は、長年狙っていた某ルートをようやく攻略できるか・・・と思いきや、この雪で風も強いので、某ルートは厳しいと判断、代替として、石尊稜に行くことに決めました。

5:30赤岳鉱泉発。

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中山乗越に向かって10分ほど歩き、鉄の橋を渡ってすぐ、開けたところから登山道が森に入る直前の沢に入ります。

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沢をひたすらラッセル。膝くらいかな。

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最初の顕著な二俣を右、次の二俣は左の三叉峰ルンゼに入りました。

ほぼ垂直なルンゼをダブルアックスを駆使して駆け上がると取り付き着。

狭いリッジを下部岩壁まで。コンテでも行けそうだけど一応スタカットで。

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下部岩壁(けんじょうさん)

下から見ていると緩傾斜で余裕そうに見えるんだけど、けんじょうさん苦戦。気休めのチタンハーケンを打って突破。

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<下部岩壁中央をリードするけんじょうさん> 

 

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<11月なのに雪多すぎ・・>

 

フォローしてみてけんじょうさんが苦戦していたのをチョー納得。

凹角の抜け口がかなりシブイ。雪のためホールドも甘く、抜け口の一歩が思い切れない・・・

けんじょうさんの打ったハーケンでチョンボしようと手をかけたら、やはりスポッ。緩斜面なので全体重をかけてたら、ケガしているところでした。

チョンボ禁止との神のお告げにしょうがなく(かろうじて)フリーで突破。

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<下部岩壁をフォローする僕>

 

岩壁を過ぎるときれいな雪稜をコンテで進みます。やっぱコンテは早い。あっという間に、上部岩壁取り付きに到着しちゃいます。

左からコールが聞こえます。小同心クラックのようです。赤岳鉱泉にはクライマーが大勢いたにもかかわらず、今日のこの状況のなかで、横岳西壁にいる変態パーティは、我々とその小同心パーティのみのようですね。 

上部岩壁をマタギさんが凹角からから抜けて、その後の簡単な凍った草付を僕がリッジまでリードして上部岩壁終了。

 あとは氷化したガリー沿いに石尊峰まで駆け上がり堅く握手。

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<石尊峰にて>

 

凍ったまつげが重いです。

だけど、もっと悲惨なお方が、下の写真の左下に写ってます。

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拡大すると・・・地蔵岳のお地蔵さんです。わかります?

顔からエビのしっぽが生えています。かなり悲惨す。

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<地蔵のお地蔵さん>

笠地蔵のオジイみたく、ゴアの雨具でも着せてあげれば、今頃我が家も食べ物で一杯だったのでしょうが、このときはそこまで気が回りませんでした。

 

地蔵尾根を駆け下りて、登山道から石尊稜への分岐まで戻ってきたところで、夕焼けに映える大同心が!残念ながら、コンパクトデジカメでは上手く撮れませんでしたが、実際には青空にきれいなオレンジで浮かび上がっていました。

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<夕焼けのなかの大同心>

 

16:00鉱泉着。残業しているテントは我々と小同心パーティのみ。

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朝ご飯の残りを温め直して食べていると、隣のパーティも帰還してきた様子。
ガチャの受け渡しを済ませてテントをたたみ、17:00鉱泉を発ちます。

もうあたりは薄暗く、ヘッデン下山です。
3人とも疲れていたのですが、早く下りたい一心で、3人とも無言。
やまのこ村まで1時間で一気に駆け下りました。

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<やまのこ村にて>

 

今回は、足の揃ったパーティだったので、かなり欲張った行動ができました。
僕の計画に快くつきあってくれたメンバーに感謝感謝です。 

某ルート、来年リベンジしますよ!

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最近のガイドブックには載っていない某ルートをめざして八ヶ岳に行ってきました。

そのルートは地形上から年を越してしまうと風が強くなって登れなくなってしまうので、年内にチャレンジする計画を立てました。

実は、3年前にも狙っていたのですが、僕がインフルエンザで倒れてしまい中止・・・

リベンジにつき合ってくれたのは、マタギさんとけんじょうさん。
足の揃ったベテラン2人を差し置いてのリーダーに、準備段階から少々緊張気味です・・・

結果的には、今回も目的のルートには行けず、某ルートは次回以降の宿題になってしまいましたが、充実した山行になりました。

 

20時マタギ宅着。マタギ号で、途中けんじょうさんをピックアップして小淵沢の道の駅へ。道の駅では、すでに先客がトイレ横の一番いい場所を取っていたので、我々は売店横の軒下に幕営。

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<小淵沢・道の駅>


翌日4:00起床、5:00出発。車内で山談義に盛り上がりすぎて富士見への左折を見落として回り道してしまい、やまのこ村着は6時過ぎに・・・

6:30美濃戸出発。30分ほど予定を遅れてしまいました。でも今回のメンバは体力組なので大丈夫です。

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<本日の行き先、大同心は雪べったりです

 

25kg位のザックなのに、空身が如くバンバン飛ばします。手加減ナシ、2時間で赤岳鉱泉到着です。

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<赤岳鉱泉アイスキャンディ>

 

テント設営、登攀準備をして9:20鉱泉発。大同心稜経由で大同心へ。
小屋から2分ほどで、「ここは大同心沢。入ってはいけませんよ」という看板がかかったトラロープ。丁寧な道標に感謝しながら、遠慮無くトラロープをくぐらせていただきまっす。

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<登山道脇のトラロープ>

 

ご丁寧にもう1箇所。トラロープ。いよいよ大同心稜。

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<大同心沢から大同心稜に乗り上げるところにさらにトラロープ>

 

今日は誰も登っていないようで、スネ~ヒザ下くらいまでのラッセルで急登が続きます。

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<青空が広がります>

 

ラッセルが予想以上にきつく、2時間歩きましたが、まだ着きません。
大同心はすぐそこなんですがね・・・

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<大同心をバックに。武者震いがします>

 

右のスカイラインが今日のルート、大同心南稜です。

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<真っ白の大同心>

 

11:30ようやく南稜取り付き着。
うーん。大同心の撤退リミットは14:00にしたいけど、上まで抜けられるかな・・

 

1P目(たけちゃん)

壁はベルグラがベッタリ。雪がなければガバばかりなんでしょうが、この雪で微妙なスラブに変身していて、ビミョ~。

途中のピナクルでかろうじてシュリンゲの支点がかろうじて取れました。それが無ければノーピンでした。

いかにも「ここでビレイして下さい」というテラスで。支点を作って、2人を引き上げ。 

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<1P目をリードする僕>

 

2P目(マタギさん)

気温は-10℃弱くらいで大したことはないのですが、風が非常に強く、体感的には-20~-25℃くらいでした。

2P目はどこがルートか、初見では悩ましいです。中央の顕著な凹角があったのでマタギさんがリード。条件が悪いので、かなり厳しそうです。

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<2P目リードのマタギさん>

 

上に抜けたところでビレイステーション発見。フォロー組は、マタギさんの抜けた凹角を避けて、思いっきり右から回り込んでビレイステーションへ。

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<2P目ビレイ中のけんじょうさん>

 

3P目に進んでドーム基部まで行くか悩ましいところですが、この時点で13:00。

懸垂にかかる時間と、翌日の行動を考え、ここで終了の判断。大体ルートはわかったので、またチャレンジしに来ます。

 

早速、取り付きまで、懸垂下降です。

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<1P目右の緩い傾斜部分を懸垂下降>

 

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<国籍不明の怪しいシェルパ。てゆうか、阿弥陀をバックに僕>

 

せっかくなので、大同心の基部から各ルートの取り付き確認をし、もと来た大同心稜を下山。

今日は我々の他には、小同心クラックを登っていた1パーティのみで、静かな登攀が楽しめました。

 

下りは、快調に1時間ほどで鉱泉へ(14:30)。鉱泉は、クライマーや登山者でごった返していました。

隣のテントのパーティは翌日大同心雲稜を登るとのこと。

 

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<大同心稜を下る>

帰ったら早速大宴会。夜は、けんじょうさん特製の巾着入りキムチ鍋でまた大宴会。

翌日は3時半起きを約束して、早々に就寝。
 

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おーしまさん、けんじょうさんの三つ峠企画、自治会の会合で参加NGだったのですが、急遽予定が無くなったので、前日の夕方に、CLのおーしまさんにTEL。快くOKしてもらえて急遽行ってきました。

9時に岩場集合とのことだったのですが、裏三つ峠駐車場に着いたのが8:10。捻挫予防のための足首テーピングをして8:20出発。1時間はかかる行程なので絶望的かな・・

2人の家は僕よりも遠くなので多分先には行っていないだろうと思ったけど、もし2人がとっくに着いていてたら、急遽参加させてもらった手前申し訳ないなと思い(&早駆けのトレーニングもかねて)、何とか9時に着くように、山荘まで走って行って見ました。

8:50山荘着。おーやればできるじゃん。駆け下りて8:55岩場着。

神奈川労山のリーダー学校が数パーティ、ガイドの鈴木昇巳さんパーティ、他に4パーティほどで大賑わいでした。リーダー学校は、相模ACから、ふじたさん&おーさわさんが参加。純さんが講師での参加です。

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<大盛況の中央カンテ>

 

予想通り今日のメンバー2人は来ていないけど、知ってる人たちがたくさんいるので、適当に捕まえてダベって待っていると・・・上から「らぁぁぁぁ~く!!」。普段とは違って、かなりせっぱ詰まった声。見ると頭くらいの岩が自分めがけて降ってきた。さすがに慌てて岩側にへばりつく。「ボゴッ」と鈍い音を立てて登山道でバウンドしてさらに下に落ちていきました。

登山道には大きなクレーター状の穴が・・・

特に誰もケガはなくて良かったです。クライマーは自己責任で来ているからまだ良いとしても、もし無防備なハイカーの方に当たったりしたら大変です(もちろんクライマーに当たっても良いわけではないですが・・)。

鈴木昇巳さんのパーティには、いつもブログを読ませていただいているエンジェルフェイスさんに少し挨拶しました。人工の練習をされていました。

と、そんなこんなしてるうちに、おーしま&けんじょう、2人のアニキが到着。

天気予報が外れたことを喜び合いながら、今日のルートの相談。

今週はずっと晴れていたので、いつも濡れていて登れないことの多い亀ルートが比較的乾いているってことで、亀に決定。

亀ルートはずっと行きたかったけど、機会に恵まれていなかったルート。

1P目(けんじょう)

中央カンテのルートから取り付き、第1バンドを左にトラバースしたところにあるピンが亀ルートの取り付き。上に立木テラスの名前の由来とおぼしき1本の木があるのでわかりやすい。

 

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<取り付きに向かうけんじょうさん>

 

2P目(たけのうち)

テラス下、左のクラックが取り付き。ここが実質的な1P目になる。人気ルートにしてはコケ類がへばりついていて汚い。シュリンゲが2本下がっている。クラックの弱点をついて登るが気持ちに負けたのか、無意識のうちに足をA0してしまう。立木テラスでビレイ。

後続のリーダ学校のパーティは全部フリーで登ってきて、ひどく後悔・・・

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<後続のリーダ学校ふじたさんたち>

 

3P目(おーしま)

立木テラスから左上。トポでは八寸バンド抜けるまで一気に行くことになっていたが、ロープの流れを考えて八寸バンド手前で切る。

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<リード中のおーしまさん>

 

4P目(けんじょう)

本ルートのハイライト。八寸バンドはウワサ通り高度感満点。ホールドがところどころ微妙に甘くて登り応えがある。3人でのトラバースはロープのかけ方一つでフォローが危険になることがあるので、ロープのかけ方に注意。

あともう1ピッチあるけど、ビレイ点には立派な懸垂ポイントがある。後続の人の話だと、この後は草つきだらけでザレているので、ここでやめる人も多いとのこと。

我々は完登すべく頂上登頂をめざしてさらに階段フェースを左上することに。

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<八寸バンドをトラバース中のおーしまさん(右)>

 

5P目(おーしま)

全員がリードしたので、次はじゃんけん。負けた人がリード。(えぇ、普通逆だろって言うツッコミは覚悟してますよ・・・) 階段状を登り、凹角手前の木々の中でビレイ。

 

6P目(おーしま)

どこを登るか迷うところ、というか、当初はこのビレイ点まできたのが正しいかったのかも疑問だったが、左の凹角が登れそうだったので、リーダおーしまさんが「リーダ責任で登る」と、リード。結果的にはあっていた。

下の方の1手&1足がビミョー。おーしまさんはナッツで支点を取っていた。その後は階段登りでハング状の岩の手前でビレイ。正面のハング岩も、登れそうだったが、左に踏み跡があったので、ここで終了とする。

尾根筋をめざして数分で三つ峠山頂。ここで握手。

何回も来ているが山頂に来たのは初めて。

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<三つ峠山頂にて>

 

せっかくなので、天狗の踊り場まで行くことに。ハイカーが入らないようにクサリが張ってあるが、それを乗り越えて良く踏まれた踏み跡に入る。数分で踊り場到着。

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<天狗の踊り場にて>

 

 

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<脩ハーケン>

 

この辺で雨が降ってきた。通常は正面右の岩場をクライムダウンするところだが、念のため懸垂で下りる。

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<踊り場には良い懸垂ポイントがある>

 

50m、第3バンドを右に行って50mで第1バンドまで。左に行って25mで下まで。 

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<雨の中の懸垂>

 

荷物は豪快に広げておいたので、あ~ビッショリだろうなと思いながら、取り付きに戻ると、靴が裏返して置いてあり、ザックやロープバッグで、濡れないようにしておいてくれていた。会の仲間かな~。感謝~!

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<取り付きに戻ってきてマッタリと>

 

3人でダベリながらアプローチの林道を下り、16:30駐車場着。

雨の予報でしたが、なんとか天気がもってくれて、ラッキーな1日でした。

おーしまさん&けんじょうさん、ありがとうございました!

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23日、急に予定が空いた。

今回は急な誘いにもかかわらず、けんじょうさんと「心優しく穏やかに生きる」のみとぴーさんがつきあってくれました。感謝感謝。みとぴーさんは、みうらさん繋がりで知り合ってメールでやりとりしてましたが実際に会うのは今回が初めて。

2ヶ月ぶりの三つ峠で楽しみにしていたんですが、前日は雨・・・。これまで「三つ峠は2日前まで雨が降っていると、しみ出しで登れない」と教わってきた。だから教科書通りだと中止の判断。だけど今回は何となく大丈夫のような気がしたので決行。

 5:40 愛甲石田駅で会のけんじょうさんをピックアップ。7:30に到着予定でのんびり高速を走っていると、みとぴーさんから1時間前に「着いたよ~」とのメール。おーい、早すぎるよー。

 裏登山口に7:10着。少しのんびりして7:30出発。談笑しながらの1時間のアプローチは三つ峠の隠れた楽しみの一つ。

濡れている場合に備えて、冬靴&アイゼンとアブミを持ってきたので、ザックの重さは17kg。パッキングを横着するため80Lのザックで行ったので、道中でハイカーの皆さんにはずいぶん怪訝そうな顔をされました~ 

岩場に着いてみると自衛隊の訓練中。大歓声とも怒号ともわからない大声が飛び交ってます。亀ルート、中央カンテ1P目、一般ルート左・中央・右・リーダーピッチなど、第1バンドまでの主要なルート全てトップロープが張られている。

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<なんとなく物々しい雰囲気>

 

この日乾いているルートは全部占拠されている状態・・・。クライマーの感覚からするとちょっと非常識な感じがするので、ちょっとムッとするが、冷静に考えると、向こうは仕事、こっちは遊びなので、あんまし邪魔しても悪いかなと。

彼らの訓練は、グリップビレイに古式ゆかしい撚りロープで何十年前にタイムスリップしたような訓練でしたが、後で教官にこっそり聞いたところ、色々事情があるようで・・・

自衛隊の教官に断って、午前中のうちに中央カンテに取り付いた。予想通り、カンテの岩は乾いていて絶好調! 

1P目(たけのうち)

III級の階段状ルート。朝一番のアップにちょうど良い。

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<オシャレで体力抜群で、とっても明るいみとぴーさん>

 

2P目(けんじょう)

ランぺを左上する気持ちの良いルート。全くの初心者が岩場の弱点を探すルートファインディングの練習にちょうど良いなーと感じるピッチ。

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<ブランクを感じさせない安定感のけんじょうさん>

 

3P目(たけのうち)

IV+の核心ピッチ。何度も登っているが、最近は物忘れが激しいので毎回新鮮・・・(笑)

手足のジャミングがおもしろいように決まるので、教科書通りに登る。

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<みとぴーさん、核心のルートも難なくクリア>

 

4P目(けんじょう)

一番楽しいピッチ。三者三様で抜ける。クラックからカンテに回り込んだところでの、お約束の富士山眺望と高度感は、ガスのためクリアには見えなくて少し残念。

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<余裕の笑顔のみとぴーさん>

 

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<終了点直前のカンテを右に回り込んだところ>

 

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<高度感たっぷりで何回来ても飽きない(ルート忘れているだけです、ハイ)>

 

当初の不安はよそに、特にトラブルもなく、登攀終了。終了点で互いに握手。

懸垂下降は右手のV字ロックの終了点からV字ロックルート沿いに下りる。

順調に見えたが、ロープ回収時にトラブルが・・・この懸垂ルートは良くロープが回収できなくなると聞いていたけど、案の定、回収時にスタックしてしまいました・・・

15分ほど奮闘しましたが、結局ロープを引く場所を変えながら引いてみるという基本セオリーどおりで、何とか回収でき、「プルージック登り返し隊」の出動は免れました・・・(助かった・・・)

 

食事後は、久しぶりのアルパイン復活のけんじょうさんの復習と、ツルベ初めてのみとぴーさんの練習として、中央カンテ1P目の岩場で、リード、支点作成、フォローのビレイセット、フォローの引き上げ、懸垂下降までの一連の練習と、懸垂の仮固定、プルージックやマッシャー(オートブロック)のセットなど一通りの基礎をやりました。

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時間が残り少なかったですが、せっかく冬靴&アイゼンをボッカしてきたので、トップロープでアイゼントレを少しだけやりました。

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たった1日でしたが、事故無く、最低限の練習はできたので大満足です。何よりも楽しかったしね。

早く2人とアルパイン行きたいな~。よろしくね!

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9月15日(月)

今日は中央カンテ。以前南稜を登ったときに見えた中央カンテを登るクライマーをみて、ここを登れる日をずっと楽しみにしてきた。中央稜の基部から少し登ったところからスタートして、烏帽子岩の基部までをつなぐルートは南稜の180mの倍以上の420m。一ノ倉のポピュラーなルートのなかでは最長のルートで登り応えがありそうだ。

この日は3:00起床予定だったが、停滞日の前日寝過ぎたせいか、それとも気合いがみなぎっているせいか、全員が2時~2時半には目が覚めてしまう。3時まで我慢できず、5分前にぞろぞろとにシュラフからはい出す。
昨日のキムチ鍋で雑炊を作り、急いで準備、一ノ倉出合駐車場に向かう。

駐車場では、まだ出発しそうなパーティはいない。4:00ヘッデンで出発。

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<真夜中の一ノ倉沢>

 

30分ほどでヒョングリ高巻き道の下降点着(4:35)。

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<ヒョングリの滝へクライムダウン>

 

沢を渡ってテールリッジ末端へ取り付く。フィックスロープは張ってあるが、岩も乾いているので、特に問題はない。III級程度の岩場の手前で、ビブラム靴からフラットソールに履き替えていると、テールリッジ末端に後続パーティが見えてきた。

後続には追いつかれることなく、一番乗りで中央カンテ取り付きに到着(5:55)。後続のパーティーは変形チムニーを攀じるとのこと。

我々と、後続の変チ組の他には、まだ誰もいない。6:00登攀開始。


1P目(たけのうち)
左に大きくトラバースして、顕著な凹角を気持ちよく左上。浮き石が多く神経を使う。 

2P目(おーしま)
谷状になっている部分を左上。トポには「落石の巣」とあったが、確かに全ての落石が集まりそうな形で、しかも脆いので、中央カンテのビレイ点までサッサと抜ける。

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<2P目、落石の巣に突っ込む特攻隊員1号、おーしまさん>

 

3P目(マタギ)
3P目と4P目がルート中のルート名由来のカンテ部分を登るハイライト。フェースを快適に登る。

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<岩の弱点をついたいいルート!>

 

4P目(たけのうち)
カンテは傾斜がきつくなってくるが、岩は比較的安定しているので極楽フェース。楽しんでリードできる。
変チのトラバースピッチが合流するバンド部分で2人をビレイ。

5P目(マタギ)
1つ目の核心部。チムニーは教科書的なバック・アンド・ニーで登る。チムニーの後、少し登ってビレイ点。

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<リードするマタギさん>

 

6P目(おーしま)
目の前に覆い被さる垂壁を左から回り込む。簡単。

眼下には南稜を登るパーティが2組。

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<ルート上から南稜テラス~1P目のクライマーを望む>

 

7P目(マタギ)
核心部。前半の垂壁は、ホールドが無く、今にも切れそうなお助けシュリンゲを使って力ずくでA0して越える。
後半のカブリ気味のクラックは、ナッツとシュリンゲが残置してある。岩は堅く安定しているので三人三様で越える。マタギさんはレイバック&一手をA0、おーしまさんはアブミでA1、僕はステミングで挑戦。右足を一カ所A0してクリア。

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<アブミチャレンジのおーしまさん>

 

8P目(たけのうち)
マタギさんが四畳半テラスの直前でピッチを切ったので、まず右上して四畳半テラスまで行ってから脆いフェースを左上。

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<8P目、最後は草付き>

 

9P目(おーしま)
傾斜が緩くなったところで左へトラバース気味に高度を稼ぐ。

10P目(マタギ)
草付き登りは飽きて来るが、その後の凹角がチョー楽しい。烏帽子岩の基部でビレイ。

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<10P目の出だし>

 

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<相模ACのチョイワルおやじ達(笑)>

 

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<とりあえず喜びを全身で表してみる、おバカな僕>

 

11P目(たけのうち)
烏帽子岩の基部を左に回り込み、一旦下ってルンゼを横断。全く難しくないが、ロープが岩角に引っかかって重くてバランスが取れなくなる上に、ボロボロの脆いルンゼなので、落石を起こさないよう注意を払っているのでとっても疲れるピッチ。支点も腐っていて、全く信用できない。

「最後のピッチは、たけちゃん締めてよ」と言う言葉を受けて、前の10P目をマタギさんに譲ってしまったのを激しく後悔(笑)。

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<頭上の烏帽子岩。落っこってきそう・・>


クマザサに埋もれたハーケンを探し出してビレイ。
終了点からはクマザサの踏跡を少し登って5ルンゼの頭からの踏み跡と合流して終了(13:00)。

変チ経由で登ってきたパーティもまもなく到着。

登攀時間7時間。3人でロープの結び換えが多かったので、まあしょうがないところか・・・

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<不敵な笑みを浮かべるヤブコギ職人>

 

下降はクマザサにA0をカマしながら、微妙なクライムダウン。途中から25mx2Pの懸垂下降で、南稜の終了点&6ルンゼの頭に到着。6ルンゼを南稜の馬の背まで下り、南稜3P目の笹ヤブ経由で南稜テラスまで降りる(16:00)。

懸垂下降中にヘリコプターが何台も幽ノ沢方面の霧の中に消えていった。何かあったのだろうか・・・

自分たちよりもずいぶん遅く取り付いた南稜パーティはすでに全員降りた後。南稜の2倍の中央カンテの長さを実感。

中央稜取り付き(16:30)を経由して、テールリッジを下降、ヒョングリは高巻きせずに左岸をトラバース。

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<ヒョングリの滝をフィックスロープで下降>

 

17:35一ノ倉沢出合着。遅くなったのでギャラリーややたらルートに詳しい望遠鏡オジサンも既にいなくなっていた。

テン場に戻り速攻でガチャの整理とテント撤収し湯テルメへ(19:00)。
高速を飛ばし、マタギさん、おーしまさんを送って、23:55自宅着。
カミさんは待っててくれました。結婚記念日のお祝いのメッセージとゴメンねを言って、バタンキュー。

今回はリーダーであるマタギさんの要所要所の状況判断や細やかなフォローがとっても勉強になりました。

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9月14日(日)

前日、22:00頃から雨がフライシートを強く叩くようになる。
3:00一旦起床。

たけのうち:「昨晩雨が降っていたけどどうします?むにゃむにゃ・・」

マタギ:「今日はやめて温泉でまったりするかい。むにゃむにゃ・・」

おーしま:「Zzz・・」

昨晩の気合いとは裏腹に、アッサリと停滞日と決定。二度寝する。
7:00頃再び起床。昨晩のほうとうで雑炊を作って朝ご飯。

 

まずは、明日に向けてヒョングリの滝の巻き方を偵察に行く。

一ノ倉沢出合(8:50)からの衝立岩の眺めは絶景。悲しいことに晴れてるじゃん・・中央稜とか登れたかも・・

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<一ノ倉沢から>

 

出合から20分程度でヒョングリの滝到着。

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<ヒョングリの滝を偵察中>

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<ヒョングリの滝。ホントにひょんぐっている>

 

ヒョングリの滝の巻き方は、右岸の高巻きからフィックスロープを下るか左岸をトラバースするかのどちらか。

右岸高巻きは登りがきつくて時間がかかりそうだが安全。左岸のトラバースは、最短で行けそうだが足元がザレていて滑りやすい感じ。またフィックスロープも2箇所ほど切れているよう。

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<ヒョングリの滝をへつるためのフィックスロープ>

 

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<左岸のトラバースルート。南稜へ取り付くパーティがトラバース中>

 

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<右岸高巻き道の下降ポイントからテールリッジ末端を望む。沢まで下りた後、写真左の白いクラックを登る>

 

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<右岸高巻き道のクライムダウン>

 

明朝は暗いうちにヒョングリの滝を越える予定なので、安全をみて高巻き道を行くことにする。

偵察後は、湯テルメ谷川に直行してのんびり温泉につかり、湯桧曽のそば屋で昼食。

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<昼間っから湯テルメでまったりと・・>

 

テン場に戻っても14:00。なーんもすることがないので、昨日の雨で濡れたガチャ類を天日で干したり、ギアの整理したり。

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<テン場でガチャの整理&天日干し>

 

夜はキムチ鍋で宴会。昼間のそば屋で食べ過ぎて食欲の無いマタギさんを横目に、ニンニクたっぷりといただきました。

 

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<マタギ特製キムチ鍋>

明日は、谷川随一のロングルート、中央カンテを登ることに決定。
勝負日なので一番乗りを目指すために、明日は3:00に起きなので早めに就寝(20:00)。

次はいよいよ最終日、「谷川岳クライミング3日目」です!

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クライミングに復帰した6月の例会の場でマタギことおおたにさんが「たけちゃん、アルパイン復帰祝いに谷川行こうよ。幽ノ沢V字状岩壁右ルートなんてどぉ」と声をかけてくれた。会を離れていたのに、やさしい心遣いに感謝しきり。

無雪期のアルパインは2006年10月の明星P6南壁以来。クライミングを休んでいる間、体重は適正値から5kgもオーバーしていて、腹回りもメタボ基準が射程内の状況。
メンバーに迷惑をかけないよう、昼休みのランニングと筋トレで体重を元に戻し、三つ峠や室内壁等で練習をしてきたこともあって、想いもひとしお。

三連休の3日目は12回目の結婚記念日だったが、カミさんも快く送り出してくれた。きっと色々思うところもあったかもしれないけど、感謝。

メンバー:(L)マタギさん、(SL)たけのうち、おーしまさん

9月12日(金)
マタギさん宅、長津田駅でメンバーをピックアップ(21:00)~水上IC(0:00)~秘密の駐車場(0:30)

秘密の駐車場、水も取れて、一ノ倉沢出合駐車場より静か。もちろん無料。
教えたいんですが、リーダー、マタギさんの厳命により、ナイショです。

早速ベースキャンプを設営、入山祝い。
当初の計画は、1日目:幽ノ沢・V字状岩壁右ルート、2日目:一ノ倉沢・凹状岩壁、3日目:一ノ倉沢・中央カンテの予定だったが、雨の予報だったので意見が分かれる。
結局、話し合いの結果、当初通り幽ノ沢V字状岩壁右ルート。

入山祝いは軽く、のつもりが、おーしまさんと語りモード、気がついたら2時、大量のビールの空き缶が散乱・・

9月13日(土)
5:00起床。朝食をほおばり、ソッコーでテントを撤収して、一ノ倉沢出合駐車場へ。
5:50一ノ倉沢出合発、幽ノ沢出合(6:15)から、明るい渓相の幽ノ沢を詰めてカールボーデンへ。

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先行は2人組の1パーティのみ。こちらは3人パーティなので、追いつくこともないだろう。
あとは中央ルンゼを登る2人のパーティのみなので、この7人で幽ノ沢を貸し切り状態!

 

1P目(マタギ)
カールボーデンの傾斜が急になったところから右俣のリンネ左側のカンテ状の岩を壁の手前まで登る。

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2P目(おーしま)
リンネをトラバース。水流があり濡れているうえに、スタンスが細かく、フリクションが効きにくい岩質でていやらしい。

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3P目(たけのうち)
一旦クライムダウンして、左にトラバース。最初の数手が微妙なカンジ、以降はガバだらけ。要とよばれるT2まで。

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4P目(マタギ)
スラブを直上。IV級とあったが、フォローしている限りではIII+位に感じる快適なフェースクライミング

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5P目(おーしま)
III級の階段状フェース。手も足もいっぱい。

6P目(たけのうち)
凹角を登ってハングの手前の小さいピナクルに1本支点が打たれているので、ピナクルに馬乗りにまたがってフォローをビレイ。
ビレイ中にポツポツと雨が降ってきた。

7P目(マタギ)
マタギさんがリードする頃には本降りに。岩はびっしょりで、もはやフラットソールのフリクションは信用できない。リードのマタギさん、チムニーをステミングで登る後ろ姿から緊張した感じが読み取れる。フォローするも緊張の連続。

8P目(マタギ)
「2人は将来があるのでここは俺がリードする」との、ありがたいお言葉で再びマタギさんリード。
左手の草付きに踏跡があるので、I~II級か?と思ったが、途中、所々にある岩の部分が少しいやらしく、トポ通りIII級といったところか。草付きでA0したり、バイルを草付きに打ち込みながらフォロー。

9P目(マタギ)
草付きを登ったテラスで登攀終了。(12:45)

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軽く食事を取ったあと、ロープをたたみ、細く切れ込んだ石楠花尾根を登る。雨で足元のクマザサが滑るので、かなり恐い。
しばらくロープなしで進むが、露岩の部分でさすがに危険と判断し、(リーダのまたぎさんはノービレイだったが)たけのうち&おーしまはハーケンとキャメロットで支点を作りロープでビレイ。
終了点から1時間ほどで、一般道である堅炭尾根へ出て、3人で握手。

支点は少なめで、少し草付きがありますが、南稜や中央稜よりも楽しいルートだと思います。

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雨でぬかった堅炭尾根を中道新道沿いに下る。途中芝倉沢に下り立ったところで、30分ほどの特大休憩(15:20~15:50)を取り、芝倉沢出合(16:25)経由で、17:10一ノ倉沢出合駐車場へ帰還。

夜は、マタギさんの自宅で取れたカボチャなど、野菜たっぷりほうとうと、おつまみのイカの刺身で大宴会。マタギさんのメニューは、いつもサプライズ!

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翌日は、凹状岩壁か中央カンテに行こうと話し合って、20:30就寝。

 

「谷川岳クライミング2日目」へ続くよ。

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会の仲間で三つ峠に行きました。メンバは、マタギさん、若さん、おおしまさんの4名。

7:45の集合のはずが、バイクの不調により、8:15着(涙)。

途中で、マタギさん、おおしまさんに追いつき、9:10岩場着、若さんに合流。

右フェースは混んでいたので、先行パーティが1パーティのみの、中央カンテに取り付く。

 

<中央カンテ>

マタギさん-おおしまさん、若さん-たけのうちの順で。マタギ-おおしまペアは、おおしまさんのオールリード。若-たけペアは、たけのうち/若さんのオーダでツルベ。

1P目(たけのうち)(II~III) 久々の外岩でドキドキはするものの、実際には楽勝

2P目(わか)(III) 左上ランペ。ブランクがあってもこの辺くらいまでは問題ないレベル。でもロープワークは一瞬考えてしまうんだよね・・

 

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<2P目のランペ>

3P目(たけのうち)(IV+) 胸を突かれる核心のクラック。体がジャミングを完全に忘れており、決まらなくて(正確には、濡れていたこともあって怖くて決められない・・)苦労する。

4P目(わか)(IV) ホレボレするほどのきれいなコーナークラックから、頭上のハングをカンテ側に回り込む。カンテ側への回り込みの1手が難しいだけで、うっひょ~と思わず声の出る極楽ピッチ。

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<最終ピッチ:クラックからカンテへ抜けるマタギさん>

 

食事後は右フェースへ

一般中央(わか)

セカンドで楽勝と思いきや、最初の数手で意外に手こずる。

クーロワール(たけのうち/わか)

たけのうちのリードで行くが、クーロワールの核心部は濡れていて、今の自分には行けそうにないので、いったんピッチを切って、わかさんに交代。わかさんもヌメヌメにかなり手こずるものの、根性で抜けていく実力はさすが。フォローで登ってもかなりドキドキ。リードは次の課題に・・

久々の三つ峠でいい汗かきました。

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今年3本目のアルパイン。秋晴れのなか、明星P6へ。
メンバーは純さん、マタギさん、まつおさんの4人。まつおさんとは3年前の錫杖以来、純さんとも1年半ぶりの本ちゃん。

10/27
21:00相模大野発。この時点の天気予報では、土曜日は天気がもつものの、日曜日には曇り時々雨とのこと。明星は石灰岩で濡れるとよく滑るので、壁が濡れたら絶望的だ。
当初、土曜日は寝不足なので4人で左フェースにて足慣らし、日曜日はそれぞれの本命であるマニフェスト(純さん-まつおさん)、左岩稜(マタギさん-たけのうち)の予定でしたが、天気が良いうちに、本命に登ってしまおうとのことで、土日の行程を入れ替えることに。2:00展望台着。暗闇の中にうっすら三角形の岩壁が見える。2:30就寝。

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<明星P6南壁。中央のリッジが左岩稜>

10/28 左岩稜
6:00起床。6:40取り付き着。左岩稜先行パーティーは2組、1組目は3P目、2組目は1P目をそれぞれをリード中。2組目は左フェースに行く予定だそうなので、それほど待つこともなさそうな感じだったのだが、実は甘かった。2組目のパーティ(N大)のフォローがV級の部分で1時間立ち往生・・・A0をするわけでもない。そのパーティは結局1P目で懸垂下降して敗退。1P目がこんな感じではさすがに左フェースといえども辛いだろう。クライミングの技術的にはきっと問題ないのだろうが、本ちゃん特有の状況判断をもっと教育すべきと思う。
先行パーティを待っていると、純さんが左岩稜取り付きへ。車の中にクライミングシューズを忘れたので取りに帰るとのこと。これが谷川だったら面倒なことに(笑)・・純さんに鍵を預けるがこれが後々行動を左右することになろうとは、この時点では予想できなかった。7:40登攀開始。

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<登攀前の図>

1P目(たけのうち) ブッシュを抜けて先行パーティが立ち往生した壁を越え、右に回り込んでビレイ点。

2P目(マタギさん) ビレイ点右の凹角を登り、正面の垂壁の左手が左岩稜のビレイ点。右手にもペツルのハンガーがあるが、これは左フェース用。

3P目(たけのうち) たぶん核心部。リングボルトのすぐ左に立派なペツルのハンガーが打ってある。数カ所最上段に乗らなければならないところがあるだけで技術的には特に問題はない。ただ腕力を消費してしまうので、フリーの部分がちと辛い。後続のマタギさんも難なくクリア。
我々もかなり調子の良いスピードで抜けたのだが、後続のパーティがさらにすごい勢いで近づいてくる。フォローへの声かけの仕方からしてガイドの方らしい(後でJAGUの木村さんと判明)。

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<3P目を人工登攀でフォローするマタギさん。年季の入った余裕の登り>

4P目(マタギさん) へこんだスラブを登る。途中の残置シュリンゲは迷わず利用してテラスまで。

5P目(たけのうち) テラスから直上しようとするが途中で行き詰まる。ルートを間違えたようだ。クライムダウンしてビレイ点に戻り、トポを確認するが、自分たちの現在位置が「失神テラス」か「松の木テラス」かが微妙。失神テラスは脆いテラスとの情報、松の木テラスは松の木があるのだろう。という目で見てみるが、足元は脆く松の木もある。マタギさんは左のルートを主張(つまり現在位置は松の木テラス)、たけのうちは失神テラスだと信じて右の凹角を主張、結局リードの僕の判断で右に行った。
凹角を登り切るとハングにぶつかる。左を回り込むことが出来そうだが、岩には干からびたコケが付着していて何か違和感を感じたが、今更戻れないので気合いで抜け、抜けきったところの枯れ木でビレイ。ハングの下はかなり微妙なスラブでノーピン。後続のまたぎさんも「よくこんなところリードしたね」との弁。ハングにクラックが走っているのでカムがあればと後悔。(実はこのルート、後日ハルシオンの5P目(V-)と判明。どおりで難しかったわけだ・・)

6P目~10P目 後続のガイドパーティは3人を引き上げるためか、追い上げてくる気配は無い。灌木でビレイできるので、適当にピッチを切っていく(ピンは全く無い)。特に脆い草付きの岩場を、のんびりと日本式崖登りスタイルで4P登ると大岩に到着。大岩でN大の別のパーティに出会う。全部で3パーティ(左フェース2パーティ、直上ルート1パーティ)取り付いたらしい。


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<上部はずっとこんな草付き混じり>

11P目(たけのうち) 残る凹角左のリッジを1P登ったところが下降点。12:30に握手。5P目で迷ったことで時間が多めにかかってしまったが、その他は予定していた時間通り。下降点で1時間半ほどまったりと昼食タイム。

純さん&まつおさんパーティは、ロングルートなので先に下降開始。付けたばかりの赤テープに導かれて30分ほどで小滝川までおりられる。駐車場まで15分程登り返して、15:15ギャラリーの観光客&パトロール中(?)のお巡りさんに拍手で迎えられ駐車場着。
先に食事の準備をしておきたいところだが、車の鍵を純さんに預けてしまったので車に入れない。なんてこったい。隣のテントでテントキーパーをしている女性(モンベルで仕事をされているそう)にお茶をごちそうになり、話をしながらひたすら待つ。彼女の相方はクワトロを登っているらしい。ビバークの可能性もあるとのこと。
16:30マニフェスト組帰還。マタギさんのメンチカツ丼をごちそうになりながらビールで乾杯。海の幸たっぷりの豪勢な食事が用意されている隣のテントは、まだ帰還しないらしい。18:00頃に大岩付近でヘッデンがちらついていたので、きっとビバークだろう。みんな疲れているのか、思ったより酒が進まず、19:00就寝。(隣のテントのパーティは22:00頃に無理矢理帰還したらしい・・)

10/29 左フェース
5:00起床。6:40取り付き。未明こそ厚い雲がたれ込めていたが、日の出の頃には雲はすっかり消えていた。バットレス&谷川に引き続き、マタギさんと行く山行はことごとくクライミング日和で怖いくらいだ。昨日左膝を痛めた(脱臼)こともあって膝が多少ガクガクするのが少し不安だが、ほとんどIII級のピッチなので、何とか行けると判断した。
我々の起床前から未明から取り付いた気合い十分の3人パーティ、JAGUの篠原さんの4人パーティの2パーティが取り付いており、我々は取り付き3番目。先行2パーティはともに左岩稜なので、左フェースでは我々がトップ。ラッキー。左フェースは、2P目までは左岩稜と共通。3P目からひたすら右上し、途中で左に折り返して、左岩稜の実質上の終了点である大岩に至る「く」の字型ルート。

1P目(純さん) 我々が取り付いたときには、最先行の気合いパーティは、まだ3P目の人工のルートをリード中。「少し遅いんでないの?」と後続パーティーは大ブーイング。
Vの立った壁の部分、昨日は左に回り込むルートを取ったが今日は正面突破。思い切りが必要だが、見た目ほどには難しくない。

2P目(たけのうち) 1P目のビレイ点も大渋滞。我々は左フェースなので、2P目は、2番目のパーティに断った上で、裏道ルート(正式ルートの右の凹角ではなく、リッジの左から上に登った後に、右へトラバースする渋滞回避用ルート)から、先行パーティのロープをくぐって左フェースビレイ点へ。ピッチグレード的にはV-程度か。

3P目(純さん) 右上する顕著な凹角を辿りピナクルへ

4P目(たけのうち) クライムダウンポイントまで階段状のフェースを辿る。このピッチ楽勝のはずなのだが、膝の痛みが出てきて、かばいながらのリードなので左足での立ち込みが出来ず、精神的にはかなり苦戦。

5P目(純さん) クライムダウンのピッチ。フォローのたけのうちは軟弱にロアーダウン。

6P目(たけのうち) わかりやすいランペを右上、上部は灌木の木登り。


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<6P目ビレイ点からの光景。この高度感、写真では伝わらないよね・・・>

7P目(純さん) ひたすら右上・・と思いきや、ハーケンが全然無いということで純さんが戻ってくる。その後ビレイ直右あたりを直上。トポでは次のピッチで右上から左上に折り返すはず。違うなぁ・・と思いながらもどこかでピッチを切らずに来たのかもしれない。支点はあるとのことなので、間違っていてもどこかのルートなのだろう。
このルートは今から思うと直上ルートではないかと考えている。過去の記録を読むと直上ルートから左フェースに入ったパーティもいるようだ。どこを登ってもIII級程度の草付き帯なので、残置ハーケンというヒント無しのルートファインディングは岩との対話が必要、アルパインの楽しい部分の一つだと思う。

8P目~11P目(純さん) 偶数ピッチはたけのうちリードのはずだが、膝痛でフォローのスピードも落ちてきたので、8P目と10P目のリードを変わってもらい、さながらガイド状態(苦笑)。純さんに感謝! ルート自体はIII~IV級で、ひたすらブッシュ&ブッシュですっきりしない。支点は灌木かカムでとるしかない。明星は石灰岩でクラックが多いので、カムがあるととても便利。冬のボーナスで揃えたいなぁ・・・

12P目(たけのうち) 大岩に至る最後のピッチ(I~II級)。ガレガレ。

13P目(純さん) 下降ポイントに至るリッジ。左岩稜と共通。12:30着。

膝の怪我でメンバーに迷惑をかけないかが心配で、十分のめり込むことは出来なかったが、左岩稜に比べて難度も低い割には、様々な要素がコンパクトにまとまったルートで大満足。

帰路は姫川温泉のホテル朝日荘の岩風呂へ。強酸性の泉質のお湯は、ブッシュで傷ついた手足には相当きつく、痛いのか熱いのかわからなかった。帰りも350km、ひたすらドライブでしたが、助手席のマタギさんの話が面白く、居眠りすることもなく無事に帰還。快適クライミングで、11月に明星にクライマーが集まる理由を体感できた2日間でした。

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おがたさんのアルパインデビューとして谷川一ノ倉沢衝立岩中央稜/烏帽子岩南稜へ。
メンバーは僕をリーダとして、マタギさん、守さん、おがたさんの4人でしたが、守さんが残念なことに仕事の都合でキャンセル。急遽栗さんが来てくれることになった。栗さんはGW前にアキレス腱を切ってからは初めてのアルパイン。またおがたさんは仕事の都合で2日目の南稜のみの参加。

計画はほぼ完璧なはずだったが、週間天気予報では台風14号が日本に接近するため雨の予報だったので、出発前々日にリーダ判断で一旦中止にしたが、晴れ男マタギさんからのアドバイスもあり、状況が好転してきたため決行することにした。

9/22
21:30に相模原を出発し、東名・環八・関越経由で、0:15に一ノ倉出合駐車場着。軽く到着祝いをして1:00就寝。

9/23 中央稜
5:00起床、星が出ている。テントを畳んで5:50出発。
一ノ倉沢出合のゴーロから右岸に取り付き、途中のケルンから左岸に渡り高度を稼ぐ。今年はこの時期でもまだ雪渓が残っており、雪渓通しにテールリッジ末端に取り付くことが出来た。テールリッジは危険なところにはフィックスが張られており、特に問題も無く中央稜の取り付きまでたどり着ける。


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<朝焼けの一ノ倉沢全景>

我々が到着したときには1パーティが雲稜第一に取り付いており、雲稜第二、中央カンテに行くパーティが、それぞれ準備をしていたところで、中央稜、南稜に行くパーティは無くラッキー。予定通り、中央稜を3人で交代してリード。

1P目(たけのうち)
階段状のルートだったが、朝一番で体も硬く、ビレイ点につくとかなりほっとした。


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<1P目セカンドでフォローする栗さん>

2P目(くりた)
リッジを左側から回り込み、凹角部分を経てビレイ。少し脆い。

3P目(マタギ)
テラスからほぼ垂直の壁を左トラバースしてフェースに回り込む。ルートファインディングを誤って下手に一歩を踏み出すと行き詰まりそうなので、数手先まで目で慎重にホールドを拾って登る。再びリッジ上に戻りフェース部分を上がったところでビレイ。このピッチはピンが少なく、トップのマタギさんは大変だったと思う。

4P目(たけのうち)
このルートの核心部。フェースからチムニーを越えるルートだが、チムニーでは、手が悪く、足も一手が見つからない。結局手が疲れてきてたので、一手だけAOして越える。なかなか手応えがある面白いピッチだった。


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<テールリッジを挟んで烏帽子スラブ(右)と衝立スラブ(左)>

5P目(くりた)
凹角の部分を登り、ピナクルを左から回り込む。このときマタギさんがエイト環でビレイしていることに気づく。聞けばATCガイドを烏帽子スラブに奉納してしまったとのこと。この晴天はマタギさんのギア奉納のお陰に違いない。感謝感謝。

6P目(マタギ)
フェースを登り、草付きへ。

7P目~8P目
草付き混じりのところを抜けて衝立の頭。12:40着。衝立の頭で昼食と、くりたさん持参のオレンジを食べて腹ごしらえ。

貸し切り状態だったので同ルートを懸垂下降することに。屈曲したルートで懸垂ポイントが沢山あったので、25mで細かく切っていけば良かったのだが、はじめの2Pは欲を出して50mで降りたのがマズかった。結び目が岩角や木の根に引っかかり、回収がままならなかった。1P目は傾斜が緩かったのでまだ良かったが、2P目は斜度もきつかったので、結局マタギさんに、プルージックで登り返してもらい、途中にあった別の懸垂ポイントから25mで懸垂。この時点でかなり時間が経ってしまっていた。テールリッジを下る時間を考えると、あまりノンビリはしていられない。25m毎に2本のロープを交互に使い、急いで降りる。

2日目から参加のおがたさんは14:00には土合の駅に着いているはずだ。テールリッジを滑るように降り、17:30出合着。ずっと待ってくれていたおがたさんをピックアップして出合駐車場に戻り、またぎさんの回鍋肉、くりたさんの生ハム、おがたさんのビールで反省会。21:00就寝。

9/24 南稜
5:00起床。明け方多くの車が出合駐車場に到着していた。前日の好天を見てより多くのクライマーが入山してくるのだろう。


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<中央稜取り付きから、左上の南稜テラスを目指す>

初アルパインのおがたさんも特に緊張した様子もなく、核心のピッチはリートさせてほしいとのこと。すばらしい。一方、こちらは前日の疲れがやや残っていて少々へばり気味・・・ 前日に登った中央カンテを眺めながら南稜テラスへ。


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<衝立岩中央稜/雲近傍のテラスにはクライマーの姿が見える>

パーティーはマタギ-くりた組、たけのうち-おがた組で、ベテラン組が先攻。前日よりもさらに天候がよく、快晴といっても良いくらいのベストなコンディション。前日ATCガイドを烏帽子スラブに納めた御利益がまだ続いているようだ。

我々2組の後には、ARIのパーティーが1組だけで今日もほぼ貸し切り状態。今日はダイレクトカンテに2組、中央稜に1組、中央カンテに1組入っているようだ。

1P目 (おがた)
簡単な階段状の岩場で途中のバンドまで。その次のチムニーが難しいが楽しい。足をうまく使えるかがポイント。


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<南稜1P目リード中のマタギさん/南稜テラスから>

2P目 (たけのうち)
一見III級ピッチ位の簡単そうに見えるフェース。そのまま直上出来そうだが、登ってみるとホールドが少なく、結果的には右へ左へ行かされる面白いピッチ。

3P目 (おがた)
明瞭な踏み跡のある草付きを辿る。一応スタカットで行ったが、どこにもピンはないのでコンテで行けば良かった。

4P目 (たけのうち)
頭上のハングした岩場を左から回り込む。

5P目 (おがた)
高度感のある馬の背リッジ。特に難しくはないので、眺望を楽しむ余裕もある。


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<5P目をリード中のおがたさん/馬の背リッジ手前にて>

6P目 (おがた)
核心部のフェース。「核心部は自分にリードさせてほしい」とのおがたさんの希望を汲んでおがたさんリード。フリーにこだわるのではと少々心配したが、やばそうなところは慎重にA0だったので一安心。

数m登った6ルンゼの下降ポイントで握手&記念撮影。エネルギー補給をして、6ルンゼを50mx2p、その後は25mでクライムダウンを交えながら、南稜テラスまで。ここで中央稜取り付きまでのクライムダウンがおがたさんの新たな課題になった。クライムダウン自体は慣れの要素が大きいと思うので、後々には単なる笑い話になるんでしょうね。
下山後は、くりたさんの梨をごちそうに。疲れた体にジューシーな梨がしみ込むのがわかる。

湯テルメで身を清め、次回の山行計画などを車中でワイガヤやりながら、帰路へ着いた。

天候にも恵まれた、これ以上ない環境で、おがたさんの初アルパイン、くりたさんの復活クライミングを終えられました。メンバーに感謝感謝。

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北岳バットレス4尾根に行ってきました。メンバーはおおたに、もりした、わかざわ、おの、たけのうちの5人。
僕は百名山ハンターでは無いですが、実は北岳に登ったことが無いので北岳ピークのおまけ付き。

およそ1年半ぶりの本ちゃんなので、リハビリ中の力試しには願ってもない絶好のルート。誘ってくれたメンバーのみんなに感謝感謝。ガチャ類で20kg程になったザックを自宅で背負い、アルパインクライミングをかなり実感・・・

8/19 1日目


自宅(4:30)~芦安(7:00)~広河原(8:30)~白根御池~テント設営~二俣~バットレス沢出合(12:30)~bガリー取付手前(12:45)~白根御池(14:00)

早朝4:30に出発、高速で中部縦貫道白根ICまで行き、芦安の市営駐車場へ。夜叉神より先はマイカー乗り入れ禁止なので、ここでバスへ乗り換え。7:30のバスに乗り込み、1時間ほどで広河原へ。

広河原から白根御池までは、ゴルゴタの丘に登るよごとくの荷揚げで、アプローチは皆へばり気味でしたが、所々に咲く花が唯一の癒しだった。途中に4尾根を登ってきたパーティに出会ったが、その方達の話によると、dガリーから取り付いたものの、トラバースのバンドが崩壊していて、所々ある細いシュリンゲを頼りに恐る恐るトラバースしたとのことで、bガリーからの取り付くことを勧められる。

3時間ほどで白根御池着。小屋は雪崩で流されて以来のプレハブから改築されたばかりで、木の香漂うかっこいい小屋でした。ちなみに肩の小屋の喧噪とは裏腹に白根御池小屋はガラガラだそうです。
早速テントを張って、おおたに、もりした、たけのうちの3人は取り付きの偵察に。

無人トイレのある二俣を経由して、顕著な大岩のあるバットレス沢出合へ。一般登山道と見まがうようなバットレス沢の右岸の踏み跡を×印にそって辿る。

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<大樺沢の雪渓>


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<バットレス沢出合の大岩>

沢を詰めていけば、自然にbガリー大滝にたどり着けそうだったので、途中で偵察終了。
二俣で出会った8人パーティーは風の谷の山田哲哉さんのパーティで、我々同様、明日バットレス4尾根を登るそう。小屋に戻るとアルパインクライマー系のテントが2張りほどあった。夏の土日は渋滞が出来るとの記録が多いので、なるべく早く取り付かなくては・・

早めに帰還してしまったので、早速宴会モード。小屋のビールは500mLで700円で、比較的良心的な値段。僕はビールをボッカしてきましたが、この値段なら小屋で買っても良いかも。

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<宴会中之図>

若さんの牛丼&サラダ、マタギさんの塩もみを腹に収めて、お楽しみの山談義に花を咲かせた後、18:40就寝。バーゲンで買った薄っぺらいシュラフで寒くないか心配でしたが、むしろテント内は人いきれで暑く、シュラフにもぐると寝られませんでした。

8/20 2日目
2:00起床、マタギさんが生キャベツ入りわかめスープを全員分作ってくれて、各自準備した飯と一緒に速攻でかき込む。外へ出てみると満点の星空、天候は上々。

2:55テン場出発。程なくして二俣に付き、大樺沢上を見上げると、2パーティ先行しているようだ。先頭パーティーはかなり先を行っている。一体何時に小屋を出たのだろうか。2番目のパーティーはすぐ前を行く。大人数なので昨日会った風の谷パーティだろう。


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<夜間行軍>

我々も沢沿いに高度を稼ぐが、後続はパーティはいないようなので、あきらめてのんびり行くことに。バットレス沢からのアプローチもそれほど苦労せずにbガリー大滝に到着(5:00)。前のパーティーはやはり風の谷グループで、我々が到着したときにはすでに最後の1パーティが登り始めようとしていた。

下部岸壁は若さん、たけのうちの順で登り、先行パーティーは左上する草付きへ草付き奥の脆いガリーに取り付いており、落石の雨あられである。比較的安全な場所へ待避し、後続のマタギパーティを待つため小休止。ガイドブックでは先行パーティが登っているガリーではなく、ガリー右の緩い傾斜帯をcガリー側にトラバースすることになっているが、崩れていてとても行けそうにない。しかたないので、先行パーティーと同じようにガリーを詰めるが、ボロボロで安定したホールドが見つからない。一人ずつ登る。僕を含む3人はノーザイルで行ったが、途中でロープを出した。ここはロープを出すのが正解だろう。危険すぎる。

Cガリー側に懸垂で降り、ガレたCガリーを横断、壁にペンキで「4」と書かれたヒドンスラブを経由して取り付きテラスへ。

1P目(若)
クラックからフェースを登る。クラック最初の3mがやや難しい。

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<1P目リード中の若さん>


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<いつも穏やかなリーダー・またぎさん、1P目ビレイ点にて>

2P目(たけのうち)
所々草が付いたフェース。特に難しいところは無いが、ルートが曲がっているのでロープの流れを考えなければならないが、久しぶりだったのでうまく伸ばせず、若さんに指摘を受ける。ありがたい。
このピッチは、最後右に回り込んだところがビレイ点なのだが、ロープの流れが気になって手前でピッチを切ってしまった。その後正規のビレイ点まで若さんリード。

3P目(たけのうち)
通称「白い岩のフェース」と呼ばれる、やや逆層気味のフェース。それほど難しくはないが、ホールドを探すのにそれなりに苦労してしまう。後続の若さんは「階段だった」。登り込みの足りないのかな・・
正規のビレイ点を少し越した小さなテラスのハイマツでビレイ。

4~5P目(若)
コルを越えて核心部の三角形の垂壁へ。さすがの若さんも慎重に登っているが、彼女お得意の「じりじり登り」で、しっかりと正面突破。
後続するも足がが滑りまくり。右に回り込むと行けそうだったが、結局もっと楽なA0で正面突破(笑)。

マッチ箱までのリッジは高度感があり楽しい。
マッチ箱先端には懸垂ポイントが2つ有ったが我々は先端から、後続のマタギパーティは手前のポイントからDガリー側のテラスへ降りる。渋滞用のバッファだと思うが、空いてれば手前の方が良い。

隣のDガリー奥壁のスラブに1パーティ取り付いている。どうやらオフィスアルパインの大森さん(ガイド)のようだ。後続のお客さんに細かく指示を出している。
Dガリー奥壁のそのピッチはスラブの中にすっきりと入ったクラックが格好良い。

6P目(たけのうち)
クラック沿いにIV級のフェースを登る。このくらいの難度のピッチが一番充実感がある。

7P目(若)
左に回り込んで枯れ木テラスまでは階段状態。

8P目(たけのうち)
最終ピッチの光栄にあずかる。技術的には何でもないところ。バルジを越える手前にビレイポイントが有るが、そのままバルジを越えて、大テラス直下のハイマツでビレイ。(ロープの長さが足りず、大テラスまでは伸ばせなかった。)
若さんと握手を交わし、後続のマタギさんを待つ。

5人が合流したところで、ロープを外して大テラスで大休止。
Dガリー奥壁を登ってきたパーティーは、やはりガイドの大森さんでした。
山頂までの情報に加えて、剣のあるルートの情報ももらいました。今度そのルートの支点整備に行くとのことで、挑戦してみるといいよとのこと。来年夏あたりそのルートに行ってみようと思います。どこのルートかは来夏までお楽しみに。

終了テラスからはお花畑の中を15分ほどで山頂に到着。握手を交わす。

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<北岳山頂にて>

草滑り経由で白根小池に帰還。逃げ足は速く、広河原には16:10到着。到着直後に乗り合いタクシーのおじさんが声をかけてくれてすぐに出発でき、16:50には芦安の駐車場に帰ってこられた。白峰会館の温泉で汗を流して帰路につく。

おかげで順調にリハビリクライミングをこなすことが出来ました。
みんなありがとう!

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会のマタギさん、おがたさんと一緒に三つ峠へ。
一応、北岳バットレス4尾根に向けた手順の確認(マタギ、たけのうち)&本ちゃんに向けたトレーニング(おがたさん)との位置付け。

7:00に裏三つ峠駐車場待ち合わせだったが、バイクで向かった僕は時間を読み間違え、いきなり15分の遅刻(すみません・・)。マタギさんは先日の大荒川谷で肋骨を痛めたそうで、あまり無理はできないとのこと。

8:30登攀開始。

一般ルート右(III+)(たけのうち)
まずは準備体操をかねて、簡単な一般右をたけのうちがリード。駆け上がれるくらい余裕のはずだが、朝一番なので体が思うように動かない。

クーロワール(V)(おがた)
目の前に広がるクーロワールは一見して良いルートだとわかる。最後の抜け口が微妙そうだ。おがたさんリード。慎重に抜けたところでピッチをいったん切る。おおたにさん、たけのうちの順でフォロー。お助けひもは使わずにステミングで抜ける。確かにピッチグレードはV級くらいだ。

第2バンドは右の壁を抜けて左に回り込んだところで、マタギさんがリード。出だしの一手が難しいが、絶妙なガバがあり、それを見つければ終わり。壁を回り込んだらビレイ点まではI~II級。

No.18クラック(I~II)(マタギ)
I~II級のルートだが、ベテランマタギさんのリード希望で登ることに。通常は天狗の踊り場から第2バンドにクライムダウンするときに使うルートで、僕自身下りるのみで登ったことは無かったのだが、意外におもしろい。

天狗の踊り場11:00。3人で手順を確認しながら行ったとはいえ、時間かかりすぎかな。3回の懸垂で下りて昼食。

直登カンテ1P目(IV/A2)(たけのうち)
たけのうちの希望で人工ルートで少し遊ぶ・・ハズでしたが、全然遊びになってませんでした。30分くらいだったでしょうか、身体中のグリコーゲンを使い果たしてしまいました・・・

中央カンテ
13:10 気を取り直して本日メインの中央カンテへ。

登山道~第1バンド(III+)(マタギ)
実は左上する階段を登ればノーザイルでもOKだが、せっかくなので直登するルートをマタギさんがリード。

1P目(III)(おがた)
おがたさんリード。左上するきれいなランペをたどる。特に技術的な困難は無いので、クライミングスピードを課題にしてフォローする。

2P目(IV+)(たけのうち)
たけのうちリード。このルートの核心部であるクラック。おもしろいようにジャミングが決まる。足はいっぱいあるので余裕。初めて来たときは、このピッチはセカンドで、かなりビビリながら登ったなぁ、と回想に耽りながらビレイ点へ。そのままピッチを切らずに行くことも可能だったが、おいしいところはマタギさんに譲ることに。

3P目(IV)(マタギ)
中央カンテのクライマックス。マタギさんリード。以前登ったときはほとんどガスに覆われて高度感は感じられなかったが、今日は初のドピーカン。気持ちの良いくらいに下が切れていて、すばらしい高度感だ。ハング下を左に回り込み、カンテ上にルートをたどる。カンテ上はガバだらけなので、どこでもルートが取れ、3人3様思い思いのルートで終了点で握手。(12:40)

高所恐怖症を忘れるくらいの気持ちよさを思う存分堪能して懸垂下降。終了点から第1バンドまでは50mロープ1回で下降可能。

今回は3人だったが、ツルベよりいろいろ工夫していかないとどんどん時間が過ぎてしまう。今日の中央カンテで3人の手順がずいぶん整理できたので、後ほど別のエントリーでまとめる予定。
三つ峠で見る限りでは、おがたさんも本ちゃん合格ラインだ思います。

下山後は厚木の花火大会に間に合うようにバイクをかっ飛ばして帰る。
今日は家族サービスデーだったにも関わらず、気持ちよく送り出してくれた妻に感謝感謝。

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この週末は、若さんと2人で会の新人冬山合宿にパラサイト(寄生)して、南沢小滝&中山尾根に行く予定でした。しかし両日ともに雪の予報・・・

コースタイム
1日目
やまのこ村7:20 - 南沢大滝&小滝取り付き9:00
 9:30~11:00 南沢小滝でアイス南沢大滝&小滝取り付き12:00 - 行者小屋13:30
2日目
行者小屋8:15 - 南沢大滝&小滝取り付き10:15
南沢大滝&小滝取り付き10:15 - やまのこ村11:45

前日のうちにやまのこ村駐車場に入って仮眠、起きると雪がちらついているが、特に問題になるほどではなく、駐車場代2000円を払って美濃戸を出発。

1日目:南沢小滝
南沢大滝&小滝への分岐からすぐの広場から見える小滝には誰も取り付いてない。広場にはもう1パーティいたが、大滝か小滝かで迷っている様子。僕たちは迷わず小滝に向かう。小滝は事前の情報通り、ばっちり氷結していて、3本くらいはロープが張れそう。
滝は向かって左にいくにつれ、傾斜が急になっており、中央で70度、左端で85度くらい。今回はバーチカルの練習がしたかったので小滝の右岸の灌木に支点を取り、中央も登れるよう落ち口に振られ止めのスクリューをセットしてトップロープを張りました。

まずは中央の氷が柔らかく傾斜も比較的緩いルートの1mほど左にある氷柱に挑戦。今シーズン最初のアイスでしたので慎重に行きましたが、ここは固くてバイルがなかなか決まらず、思ったより大変でした。若さんも苦戦、5・6テンしながらも根性で抜けていました。1本登る2人ともすっかり感覚を取り戻し、比較的サクサクと登れるようになりました。徐々に斜度を上げるために左に移動して行き、最後には再左の5mほどのバーチカルも何とかいけるようになりました。
僕は今回コツがつかめたので少しステップアップを実感でき、次の課題も見つかったこともあって、十分満足しました。
この日は僕たちも含めて3パーティー、9人でした。

その後、大滝を見に行ったところ、京都の1パーティが中央ラインから登っていました。両脇はまだ氷結が甘く、チョロチョロと水が流れていました。ここをリードできることを次の目標にすることにしました。

テント生活
行者小屋へ着くと、新人冬山のメンバー(Lおの、ふじた、みずむら、もりした)も少し前に到着した様子。予報が悪かったせいか、テントは自分たちのエスパースジャンボを入れてたった4張だけでした。

早速宴会&夕食の準備。僕持参の新人冬山合宿恒例(?)の生樽ビールサーバーで乾杯。今回もみんなから酒が出るわ出るわ。訓練とはいえ、もっと軽量化しましょうね・・・夕食はおのさんの特製キムチ鍋。材料は豚肉、白菜、干し椎茸、春雨、ネギ、キムチの素だったかな?不思議に赤くないのですが、とてもおいしかったです。宴会も盛り上がり、20:30就寝。

夜3:00頃、右手が冷たくて目が覚めたので、あたりを探ってみると、積もった雪が点との周囲を埋めていました。そういえば少し息も苦しく、どうやら酸欠気味のよう。除雪に出ようとシュラフから出ると、既におのさんとふじたさんが除雪のためにテントの外に出てくれるところでした。2人が除雪してくれたおかげで、酸欠も回復し、右半身も雪に接触することなく、残りの夜を快適に眠れました。多謝。

朝の食当はふじたさん。菜の花、生椎茸、乾燥鶏肉、ネギ、(もっと材料入っていたかも・・・)のスペシャル雑炊であっという間に全部なくなりました。菜の花がいい香りでした。

2日目:退却
外は予想以上の積雪で、50~60cmは積もっていました。前日新人冬山パーティリーダのおのさんとの打ち合わせで、車を掘り起こさなくてはならないので、遅くても13:00には美濃戸に合流するということにしました。ですのでルートはあきらめ、前日と同じ南沢小滝でアイスの練習をすることにし、そのまま美濃戸へ。(新人冬山パーティは、中山乗越~赤岳鉱泉経由で美濃戸。)

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<16日現在の赤岳の雪の様子>

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<今回のゴーリキメンバー。みんな驚きのボッカ力、すごいっす。>

出発して30分。まだ行者小屋したの広場で腰から胸までのラッセルをしていました。この時点で南沢小滝すら遠のきました・・・樹林帯に入ると膝くらいのラッセルになりましたが、所々吹きだまりがあり、雪は比較的軽かったものの、かなり消耗。昨日途中の登山道脇にテントを張っていたパーティがいたのですが、そのパーティも行者小屋にすら行くことなく撤退したようで、途中からトレースがついていました。そのパーティもかなり苦労の跡が見られ、胸までのラッセルの後が200m程続いていました。正直助かりましたが、それも束の間、10分ほどで休憩しているところに追いついてしまいました。その後は再び僕たち2人でラッセル。(結局そのパーティは美濃戸まで追いついてきてはくれませんでした・・)

南沢大滝の取り付きまで下りるのに2時間かかりましたので、美濃戸までは同じくらいの時間がかかると見込んで・・・残念ながらアイスはできませんでした。(当然この日は誰も入っていません。)

もしかしたら、この天気でも南沢大滝に入る殊勝なパーティがいてトレースつけていてくれるかなという微かな望みも絶たれ、再び若さんと交代でラッセルラッセル。雪は重くなったものの、膝くらいになったので、南沢大滝取り付きから1時間半ほどでやまのこ村に戻ってくることができました。(11:45)

やまのこ村では、既に新人冬山のパーティ4人が先に到着していて、おのさんのカルディナを掘り出している最中でした。その時点で僕のレガシィはまだ雪だるま状態・・

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<クルマを掘り出す楽しい作業・・・>

1時間弱で掘り出し、やまのこ村でお茶して、美濃戸口までの林道を華麗なテールスライドを交えながら(ただ滑っているだけ?)下りて帰路につきました。

いつもの原村ペンションの「もみの湯」で汗を流し、小淵沢ICのすぐそばの「松木坂」でほうとうを食べて帰りました。
(小淵沢ICへの道沿いにある、相模御用達?の「カントリーキッチン」は休み(?)でした。)

中山尾根はぜひリベンジしたいです。

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この週末、純さん、若さんと3人で赤岳主稜&阿弥陀岳北稜に行ってきました。当初のメンバーは5人でしたが、えびすさんとおのさんは残念ながら風邪でリタイヤ、3人での登攀になりました。

コースタイム
1日目
美濃戸7:15 - 行者小屋9:40
行者小屋10:25 - ジャンクションピーク 11:15
第1岩峰登攀開始12:00 - 阿弥陀山頂13:20 (1時間20分)
阿弥陀山頂13:40 - 行者小屋14:15
2日目
行者小屋6:35 - 文三郎道分岐7:25
登攀開始7:45 - 赤岳南峰頂上9:50 (2時間5分)
赤岳南峰10:25 - 行者小屋11:00
行者小屋11:55 - 赤岳山荘13:15

今回は軽量化には気を遣ったので出発前のザックの重さは4人用テントを含めて23kg。昨年末の八ヶ岳の30kgに比べるとウソみたいな軽さです。

前日のうちに赤岳山荘駐車場に入って仮眠、駐車場代2000円を払って出発。2時間半ほどで行者小屋着。

1日目:阿弥陀岳北稜
テント設営、ガチャを身につけ出発。純さんがこの前登ったときには取り付きがよくわからなかったそうなので、前もってWeb上の記録などを調べておきましたが、幸いにも今回は雪が少なく、夏道通しであっという間にジャンクションピーク直下まで行けました。

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<北稜アプローチにて。目の前のピークがジャンクションピーク>

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<夏道からジャンクションピークへの登り>

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<北稜から横岳西面を望む>

さらに夏道をたどればJP~第1岩壁をショートカットして岩壁直下まで行けるようです(先行していた岐阜の日帰りパーティはそうしていた)が、僕たちはきちんと(?)登ろうということでJPからリッジに取り付きました。雪が少ないが、稜線上だけはハイマツとシャクナゲが比較的薄くて、ヤブこぎという感じではなく、40分ほどで第1岩峰下に到着。

● 1P目(香取リード)
取り付きは手前のフェースと左手に回り込んだクラックの両方にしっかりとしたペツルの支点が打たれていました。先行パーティはフェースをノーアイゼンで。僕たちはアイゼントレも兼ねてアイゼンでクラック側から登りましたが楽勝です。岩もしっかり固まっているので安心して取り付けました。

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<北稜1P目純さん>

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<北稜1P目ビレイヤー若さん>

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<北稜から赤岳西面。左からショルダーリッジ、主稜、南峰リッジ>

● 2P目(若リード)
1P目よりは登り甲斐ありますが、特に問題なし。リッジ上に出て傾斜の緩くなったところに1本あるハイマツの幹でビレイ。その後は練習も兼ねてショートロープで阿弥陀頂上へ。

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<北稜2P目若さん>

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<阿弥陀山頂>

山頂はクライマーでにぎわっていました。南陵を登ってきたパーティに写真を撮ってもらい、20分ほど休んで帰路へ。明日の主稜のルートを目で追いながら、北稜沿いの夏道を駆け下り、14:15行者小屋着。

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<行者小屋の様子>

夜は若さんの鍋で宴会。僕は体温調節に失敗してしまって、少し熱っぽくて食があまり進まずすみませんでした。周りのテントがまだまだ宴会を続けるなか、うちのテントは19:00に消灯。

2日目:赤岳主稜 (取付~南峰山頂:2時間5分)

本当は6:00のまで爆睡の予定でしたが、さすがに11時間の睡眠はとれず、3人とも5:30にやむなく起床。周りは既に出発準備を始めている。心配だった昨晩の熱も無事に下がって、むしろ絶好調なくらいだ。

文三郎道をたどると昨日登った阿弥陀北稜の稜線がきれいに見える。

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<中央が阿弥陀北稜、スカイラインは北西稜>

文三郎道最後の鉄製の階段を登り切ってすぐところでアイゼンを着け、鎖を越えて取り付きへの踏み跡へ。アプローチから見たときはずーと渋滞していましたが、僕たちは朝一取り付き組では最後だったようで、先行は先週の谷川天神尾根でもお会いしたBush 山の会の3人パーティのみ。逆に空いていました。

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<主稜の取り付き>

● 1P目(香取リード)チョックストーンを抜けるのが難しいように書いてありましたが、雪が少ないからか、全く問題なし。雪がついて無いので、岩が脆く落石をしないように気を遣うことの方が難しいくらいです。

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<1P目リードの純さん>

ピッチを切ったところから正面の岩壁まではほとんど雪が着いていないのでコンテで進む。

● 3P目(たけのうちリード)
スタカットで来れば何P目になるのだろうか。主稜上で特に顕著な岩壁でここは是非ともリードしたいと思っていたところ、リードさせてもらえることに。先行パーティが譲ってくれたこともあってちょっと緊張気味に、正面を右から回り込む。少しトラバースしたところのフェースと右のクラックが弱点に見える。フェースの方がホールドが多少小さいかなと言う程度で基本的にはガバなので同じくらい。今回はフェースに取り付いてみた。登り切ったリッジでビレイ。

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<3P目(核心部)の出だし(たけのうち)>

あとはコンテで進み、最後の簡単な岩場を越えて北峰直下に出て終了。以前ここで主稜を登ってきたパーティに出会ったことが、自分のアルパインクライミングの起点になっていることを思い出しながら、南峰で握手。

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<赤岳南峰にて>

記念撮影をすませ、阿弥陀北稜、赤岳主稜と自分たちのトレースしたリッジを眺めたり、南峰リッジの取り付きとルートを確認したりしながら文三郎道を下る。全くアイゼンは必要なかったです。(スクールでむりやりアイゼンを付けて登らされている少し可愛そうな光景にも遭遇)テントを撤収、帰り支度をして小屋を出発発、1時間半弱で美濃戸着。
原村の「もみの湯」で汗を流し、「小松山荘 山の幸」に行く予定でしたが、山の幸は残念ながら14:00~17:00の休み時間中でしたので、小淵沢ICのすぐそばの「ほうとう 松木坂」で食事をしました。

今回は異常に雪が少なく、天候が極めて安定して風も無かったので、どちらのルートも易しく、余裕を持って楽しめました。また3人だったので登攀のスピードを心配していましたが、ほとんどコンテで行けたので早く抜けられました。どちらももっと雪が着いている時期にもう一度ツルベで行こうと思います。

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久々の三ッ峠でアイゼン&アブミを堪能してきました。

僕以外の3人は一泊で、ボッカ&宴会&アイゼントレという予定です。僕は翌日用事があるので日帰りで合流させてもらいました。一応僕もガチャ類で20kg位に調整していきましたが、みんなはもっと重そうです。25~30kg位かな?

6時に自宅を出発し、御殿場周りで8時半に裏三ッ峠の駐車場へ。程なく道志みち経由のおの号も到着。道志周りの方が時間的に早いみたいだ。

身支度を済ませ、キャタピラーの跡で汚くなった道をたどり10時に岩場到着。まずはテン場確保ということで、地蔵ルートから伸びる尾根上に荷物をデポ。

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<テン場予定地にて>

一般ルート中央(IV+)、一般ルート左(IV+) (アイゼントレ)
まずはアイゼントレということで、一般ルート中央を門間さんにリードしてもらい、一般ルート中央と一般ルート左にトップロープを張ってもらう。本当は一般ルート右(III)で軽く足慣らしをしたかったというのが正直なところでしたが、他のパーティが取り付いていたのであきらめました。

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<一般ルート中央(IV+)をリードする門間さん>

● まずは、一般ルート左:門間、もりした、一般ルート中央:おの、たけのうちで練習。もりしたさんは今回がアイゼンクライミング2回目。トップロープではあるけれどIV+のルートをワンテンで抜ける。すばらしいです

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<アイゼントレ2回目とはとても思えない会心の登りのもりしたさん(一般ルート左(IV+))>

おのさんもシーズン初めのせいか、いつものようにサクッとはいかない様子。

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<一般ルート中央(IV+)の核心部(おのさん)>

僕もおのさんに続いてトライするが、確かに核心部でみんなが苦労していた理由が良くわかりました。右足のホールドの位置が少し悩ましい。去年の自分だったらきっとここで終わっていただろう・・・
核心を抜けた後は、少し手が細かく、軍手を脱ぎたい衝動に駆られるが、トップロープだし、メンタル面での弱さを克服することが今年の課題の一つなので、ここは気合で乗り切る。

● 交代して、今度は一般ルート左に取り付く。ぱっと見たところ一般ルート中央よりも悪そう。核心部は左に移動して抜けるのが明らかに正解っぽいが、バランスが悪くて手に負担がかかるので、右のクラックでレイバック気味に片手ずつレスト。手が回復したところで、左に移って立ち込み、ハイステップ気味に一気に右足に乗り込んで核心部は何とかクリア出来ました。どちらかといえばこちらのルートの方が面白いです。

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<一般ルート左(IV+)の核心部手前、頭のあたりが核心部(たけのうち)>

去年のアイゼントレはふくらはぎが完全にイッちゃってましたが、今年は反省を踏まえ、下界で前もって筋トレもしていたので、ふくらはぎは全く問題ありませんでした。

空間リッジ [2P] (IV/A2, IV)
午後は僕の「人工ルート行きたーい」オーラを感じ取ってくれた門間さんが、「アブミやりに行こうか」と誘ってくれました。ありがとうございます。アブミに関しては広沢寺の大ハングとナバロンの横の小ハングしか経験が無く、ゲレンデとはいえ本格的なアブミルートは初挑戦です。

いつもじめじめしている逆V字ハング [3P] (IV/A1, IV/A1, III/A1)、四段ハング [4P] (IV+/A1, IV/A1, IV/A2, IV+)が先日までの雨でシャワー状態だったので、乾いている空間リッジに行くことにしました。
空間リッジは中央カンテの10m程右にある、垂直に突き出た顕著なリッジで、下の写真の通り、非常に絵になる格好いいルートです。

第1バンドまでは特に問題なさそうなのでノーザイルで登る。さっきまでアイゼンを履いていたので、ラバーソールはまるで岩に吸い付くようだ。

●13:40 1P目(門間) 第1バンドを右に少しトラバースしたところにあるノッペリしたフェースから取り付く。あっという間に核心のハング取り付きまで来た門間さん、「ヌンチャクが足りないかもー」という9月の越沢バットレスでも聞いたセリフにアララと思いつつも、核心を抜けたらランニングを一本おきに飛ばしてビレイ点へ。さすが。

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<抜けるような青空の下、チョー格好良い空間リッジ。核心部のハングの手前の比較的安定したテラスにて(門間さん)>

14:00 続いてたけのうちのフォロー。A1の部分は見ていると簡単そうだったが、実際取り付いてみると、意外にアブミの掛け替えに時間がかかってしまう。ボルトの間隔も期待通りで、アブミの最上段に乗らなければ次のボルトには届かない。途中で1カ所アブミが回収しにくいところが有り、ハーネスにつなげたアブミ回収器(?)で回収。
お次の核心部(A2)を深呼吸しながら見上げる。広沢寺の大ハングで四苦八苦したシーンを思い浮かべながら錆びたリングボルトにフィフィを掛ける。ふと周りが気になって一般ルート方面と下を見ると・・みんな見てるじゃないですか。そう、誰が見てもここが核心部、ここは派手なパフォーマンスで格好よく決めたいところだが・・・既に息が切れてほとんど各駅停車状態。回収したアルパインヌンチャクを整理する余裕もない。伸ばされたアルパインヌンチャクをとりあえず外し、カラビナ同士を引っかけて岩に当てないようにするだけで精一杯だ。ハングの乗っ越しの所では完全に足ぶらぶら状態で巻き込みの姿勢すら取れないので、どんどん体力を消耗してしまう。このままだとかなりマズイ状態なので、ひとまずフィフィで休憩。腕の回復を見計らって核心部を抜けるが、既に体力を使い切った状態で、A1の単純な掛け替えもままならず、何とかビレイ点へたどり着く。
取り急ぎ回収したままの状態のヌンチャク、あきれ顔の門間さんがきれいに整理してくれました。ありがとうございました。自分はというと、とてもそんな余裕はありませんでした。「少し休んでからで良いですか?」なんて言ってはみたものの、時計を見ると14:30。門間さんが20分でリードしたピッチをフォローなのに1.5倍の30分もかかってしまいました。ショック。
これ以上時間をかけるわけにはいかないし、門間さんの「もうあと少しだよ」との言葉に励まされ気合いを入れ直す。

●14:10 2P目(たけのうち)
ここはフリーで行けるルートでしたが、一旦アブミを使ってしまうとフリーに頭を切り換えるのがすごく難しく感じます。門間さんにも「フリーの方が良いよ」と言われましたが、体力的にきつかったのに加え、人工でリードして技術的なダメ出しをしておきたかったこともあって、結局アブミで行きました。

2本目の支点だったと思うのですが、隣接して2つ打たれているハーケンの上の方のハーケンにフィフィを掛けたところグラッときて思わずビビる。人工は支点が命。もう一つのハーケンは大丈夫そうだが、2つが微妙に近くて下のハーケンだけにフィフィを掛けるのに苦労する。そして掛けてからさらに後悔する。ハーケンやRCCなどの穴の小さい支点に先にアブミを掛けて占有してしまうと、ランニングを取れなくなってしまうことをすっかり忘れていた。(やっぱり人工でリードしておいて良かった・・・)

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<空間リッジ2P目、この辺りまでアブミに頼ってしまう(たけのうち)>

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<空間リッジ2P目、凹角内のビレイ点(懸垂支点)にて(たけのうち)>

凹角に入った所あたりからボルトの間隔が遠くなってきたので、フリーに切り替えて上まで抜ける。

その後門間さんは当然のごとくフリーで難なくフォロー、15:00頃、終了点で握手を交わしました。下を見ると高度感120%、気分爽快です。いやー本当に良い経験でした。自分なりに燃え尽きて大満足。

時間短縮のためのパワーと技術の向上が当面の課題ですね。人工登攀の当面の目標にしている4段ハングに、少しは近づきつつもまだまだ遠いことを痛感しました。脱ゲレンデめざして鍛錬あるのみです。

※各種のルート図集では、ハング出口のボルトが「抜けている」とか、「抜けそうなので注意」と書いてありますが、門間さん情報によると今はちゃんとした支点があるそうです。

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<三ッ峠での人工登攀の目標、4段ハング>

冒頭にも書いたとおり、僕だけ日帰りなので、後ろ髪を引かれる思いで心地よい疲労感とともに帰路につきました。翌日は皆さん亀、草溝、地蔵の各ルートを登ったとのことで、各々充実したクライミングになったようです。

全ての写真集はこちらからどうぞ。

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6時にもんまさんをピックアップして、鳩ノ巣駅に向かう。道が空いていて1時間半ほどで到着。
駅に隣接する無料駐車場に車を止める。約束していた白嶺岳和会の児矢野さん、舘田さん、新人さん、柴笛クラブの山村さんの6人で岩場へ向かう。30分ほどで越沢(こいざわ)バットレスに到着。
いわゆるチャートで堅くて独特の劈開面を持っており、岩角で手もロープも切れそうだ。
首の落ちたハーケンもちらほらと・・
場所が奥多摩の近場にあるというだけで、ほとんど本チャンルートだ・・

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<越沢バットレス全景>

●9:00 まずは第2スラブ(IV+)に取り付くことにするが、前に1組若いペアが準備をしていたので先に行ってもらうことにする。(後で後悔することになるのだが・・)
1P目(門間)、通称桧のテラスのちょっと上のテラスまで。下から見るといかにも楽勝そうに見える。一見ノーザイルでも行けそうに見えたが、先行パーティのセカンドが途中で固まって動けなくなった。(30分以上かかっていただろうか・・)門間さんのトップの後、自分も登ってみると意外なシブさに納得。核心部で直上せずにバランスを右に移すことに気が付けば何のことはないのだが、朝一番の頭にはいささかきついかも。
2P目(たけのうち)はコーナー沿いの快適なフェース。途中やや細かいところもあるが基本的にはガバだらけで楽勝。
3P目(門間)岩の弱点の沿ってコーナーを右側にトラバースする。コーナーを直上(右スラブ・コーナー(VI-))ほどではないが、それなりに細かいので門間さんも丁寧にランニングを取っている。それが災いして途中で門間さんのヌンチャク切れ(笑)。途中のリングボルトを適当に拾いながら、即席ビレイ点を作ってピッチを切る。(実はすぐ右のレッジにちゃんとしたビレイ点があったことに後で気が付いた。)
4P目(たけのうち)レッジからチャート岩の劈開面を忠実に拾って直上、その後は岩に誘われるままに右を回り込むと終了(12:00)。先行パーティが遅すぎて、実質3Pのルートに午前中一杯3時間もかかってしまいましたが、すごく楽しい良いルートでした。おすすめ三ツ星ルートです。
終了点の尾根を越えたところの「お宮のハング」のアブミルートで、児矢野・山村組を発見。今度来たときにはここにも挑戦しよう。

●13:00 昼食後、気を取り直して右ルート(別名一般ルートIV+)へ。午前中は順番待ちで大渋滞だったこのルートも午後はガラガラ。ラッキーだ。
1P目(たけのうち)取り付きのはっきりとした凹角を10mほど登ると、登山道のような広いバンドにでてそのまま通称「天狗の肩」と呼ばれるビレイ点へ歩いていく。やや拍子抜けした。
2P目(門間)かなり細かくて難しいが、フォローということもあって思い切って楽しめた。

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<右ルート2P目(門間さん)>

3P目(たけのうち)このルートの核心部、すべり台と呼ばれるスラブだは下から見てもすっきりとしており、ここをリードさせてもらえることを光栄に思いながら取り付いた。
左上するうちは楽勝だったが、すべり台に到着してうなってしまった。一見するとどこも取り付きようがない。つるつるだ・・・門間さんの「アルパインは気合いだーっ、行けー」の声に励まされながら何とか前進するが、最後1手どうしてもバランスのとれない箇所でヌンチャクをつかんでA0に甘んじてしまい、自己嫌悪気味に終了(14:00)。「丁寧に拾って行けば大丈夫だったよ」とはフォローの門間さんの感想。まだまだ細かいスラブの修行が足りませんな・・結構へとへとになった。

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<すべり台手前、頭上にある右上するフェースが「すべり台」(たけのうち)>

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<「すべり台」で苦戦中(たけのうち)>

●14:30 左スラブ(V-)に行く予定だったが、取り付きの待ち行列に並ぶと遅くなりそうだったので、先ほどの右ルートのバリエーションである右ルート・左のすべり台(V-)へ行く。1~2Pは右ルートと共通だが、3P目でハングの左側を回りこんだフェースを登る。(ハングを直上する人工のルート(青梅ベルグハング/A1)もある。フリーだと5.12d)

2P目(たけのうち)さっきフォローで登ったので楽勝かと思ったが、トップで行くと核心のフェース部分で悩んでしまった。ルートファインディング能力不足か・・またまた「アルパインは気合いだーっ、行けー」のかけ声に押されて何とか登り切る。

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<右ルート2P目核心部付近(たけのうち)>

3P目(門間)見るからに核心部だらけ。出だしから渋い左トラバース。立ちはだかるフェースも左にはホールドが全くなく、門間さんもやむなく1手だけA0が入ってしまう。フォローでも厳しすぎる。結局どう解決して良いかわからず、チョンボの連発で核心を抜け、あとは気合いで登り切るが、完全に消耗してしまった。「どうだ!満足か!」「はい!満足です!」(15:30)

左のすべり台で苦戦中に隣に見えた迫力満点のギザギザリッジが印象に残った。鋸ルート(VI)と言うそうだ。今の実力ではだいぶん厳しそうだが、どう見ても良さげなルートで越沢バットレスの目標にしたいと思った。
暑いくらいの晴天に恵まれ、良い休日を過ごせました。(門間さんありがとうございました!)
相模ではあまり行っていないようですが、おすすめです。

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<アプローチの錫杖沢を登る>

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<左方カンテ6P 大田さん北沢フェース左のフェースをリード>

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<左方カンテ8P 終了点目指して登攀中の大田さん>

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<左方カンテ終了点 新人同士の一コマ>

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<左方カンテの反省会>

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<1ルンゼ核心部6P リードする静子さん>

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プロフィール

  • 神奈川県・広沢寺の岩場から約10分の所に住む、関西系O型39歳。
  • バリエーションを志し、相模ACの門を叩く。1男1女パパで家族サービスとの両立が目下の悩み。

2014年7月

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