会山行で雪崩・ラッセルのトレーニングにタカマタギ(方面)へ。
前夜、上野22:23発の快速で高崎駅まで行き、ステーションビバーク。
1日目
土樽に着くと、同じくタカマタギへ向かうパーティが駅舎内で準備をしていた。
小雨の降るなか、我々も駅前で簡単な開校式(?)を済ませて出発。
林道では広場を左に見遣り、右手の尾根を目指す。トレースもうっすらと付いている。林道が尾根を巻き込む手前で一休み。
今日はみやざきさんを先生に尾根の南斜面で弱層テストの練習。円柱テスト(従来の呼び方では「ハンドテスト」)とシャベルコンプレッションテストの2つをやりました。
円柱テストで言う1~5の不安定度合いの尺度が、シャベルコンプレッションテストでどれに対応するのかが今ひとつよくわからないものの、円柱テストでは見つけることが難しい浅い位置の弱層もわかること、実際の状況(斜面上を人が歩く)をより反映していることから、こちらの方が良さそうに思えました。
円柱テストの尺度で「2」の「おおむね安定」という判定だったので、尾根に乗り上げるべく急斜面をラッセル。先日の八ヶ岳ほどでは無かったですが、濡れザラメ化しつつある雪面のラッセルはなかなか手強く、4人ほどで交代してやっと尾根に乗り上げました。尾根筋はおおむねなだらかで地形もわかりやすいため、冬山の地図読みにはぴったりの良い地形でした。
1050m近辺の小ピーク付近でゾンデを突いて積雪を確認。ピークの西面は傾斜が緩かったものの、3m以上の積雪が有ったので、ここに雪洞を掘ることに決定。2mほどの縦穴を掘り、横に掘り進むこと2時間半、11人使用の立派な雪洞ができあがりました。加えて厠も大人数に十分に対応できる立派なものを作成しました。
雪洞掘りは大学時代の八甲田山での合宿以来なので17年ぶり。いろいろなノウハウは見事に忘れてしまっていました。着ているものは何もかもグッショリになってしまい、協力撥水スプレーをかけてこなかった事を後悔。また雪洞内では基本的にものは乾かないことをすっかり忘れていて、手袋と下着の替えを一組しかもってきてなかったのは、失敗でした。
夕食の準備の時間を利用して、宮崎さんに昼間の復習を兼ねた机上講習をしてもらい、シチュー組と鮭鍋組に分かれて食事&反省会。鮭鍋組はみやざきさんとえびなさんの激論で大いに盛り上がっていましたが、シチュー組はみんな疲れてしまい、早々に就寝。
2日目
5時起床。今日は、しいやさんを先生に、雪洞の近くで、埋没者捜索/搬出/埋没体験の予定。
まずはスカッフ・アンド・コール、ゾンデ棒(プローブ)の突き方、ビーコンの原理と捜索訓練、掘り出し方法、搬出方法、埋没者捜索から搬出までのシミュレーション、埋没体験と盛り沢山でした。
埋没体験は未経験のみのイベントということで、みずむらさん、かとうさん、僕の3人が深さ1m位の所に5~10分ほど埋められました。
暗くて全く身動きが取れないことは予想の範囲内でしたが、地上からのスカッフアンドコールでの呼びかけの声は、聴力検査のような小さな声でしか聞こえないことは身をもって経験しないとわからないことでした。
またゾンデで人様を突いたときのプニュプニュした感触も貴重な経験でした。
2日目の訓練の要点は下記の通りです。
スカッフ・アンド・コール
ビーコンなどを持っていない場合の捜索法。一列に並び、出来るだけ雪をかき分け、コール後、耳を雪面に当てて、中からの声を聞く方法。
ゾンデの付き方:上下の間隔を開けてゾンデを握り、両腕を伸ばした状態で、重力に任せて鉛直に落とす。斜めに入れないことが重要。1点ゾンデ
初動捜索で有効。全員が片肘間隔で並び「1点突いて、一歩前進」を繰り返す。3点ゾンデ
遺体捜索に有効。両肘間隔で並び、30~40cmの間隔を開けるようにして、右前、左前、中央手前の3点を3角形を作るように突いて進む方法。
捜索は胸に付け、身体全体でビーコンの方向をゆっくりと動かして反応を見る。アンテナの両脇から電気力線は楕円状にでている事を理解し、これに沿って発信源近辺まで到達する。
近くなったらビーコンの向きを変えないように注意しながら、直交する2軸で反応の変化をみて、最も信号強度の高いエリアを絞り込む(十字法)。またアナログ、デジタルと言う違いは、ビーコンの本質を直接的に表してはいない。正確にはシングルアンテナやデュアルアンテナと言うべき。デュアルアンテナは、一定の角度を持った2つのアンテナの強度比から電気力線の方向や距離を計算して「デジタル」で表示しているものであって、今後はアナログ、デジタルという言い方はしないようにした方が良いという風潮だそうです。掘り出し方法
搬送を楽にするために両脇を深くする。事故者を外気にさらさないように顔以外は雪を取り除かない。
搬出:ツェルトでくるんで、ヒューマンチェ-ン(手と手を取り合う方法、何回かに巻いたシュリンゲを介する方法)、立つ時と下ろす時は、一旦立て膝でワンクッション置く。雪崩捜索
役割分担、安全な場所の確認、遺留品の確認、ビーコン・ゾンデでの捜索、掘り出し、テントなどの安全な場所への搬送。
訓練後、雪洞内で昼食を取り下山。ふじたさんがワカンを試してみたいということで、ふじたさんのみワカン、残りの10人はツボ足で下りましたが、ふじたさんの歩きを見て、改めてワカンの有効性を実感しました。
雪崩ラッセルトレということでしたが、雪崩については、会としてこれほどまできっちりやる会はあまり無いのではないかと思うほど充実していました。一方、大勢だったこともあって、ラッセルの方のトレーニングはあまり出来ませんでしたが、こちら実践でいくらでも自主トレ出来ますので良いでしょう。
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