9月15日(月)
今日は中央カンテ。以前南稜を登ったときに見えた中央カンテを登るクライマーをみて、ここを登れる日をずっと楽しみにしてきた。中央稜の基部から少し登ったところからスタートして、烏帽子岩の基部までをつなぐルートは南稜の180mの倍以上の420m。一ノ倉のポピュラーなルートのなかでは最長のルートで登り応えがありそうだ。
この日は3:00起床予定だったが、停滞日の前日寝過ぎたせいか、それとも気合いがみなぎっているせいか、全員が2時~2時半には目が覚めてしまう。3時まで我慢できず、5分前にぞろぞろとにシュラフからはい出す。
昨日のキムチ鍋で雑炊を作り、急いで準備、一ノ倉出合駐車場に向かう。
駐車場では、まだ出発しそうなパーティはいない。4:00ヘッデンで出発。
<真夜中の一ノ倉沢>
30分ほどでヒョングリ高巻き道の下降点着(4:35)。
<ヒョングリの滝へクライムダウン>
沢を渡ってテールリッジ末端へ取り付く。フィックスロープは張ってあるが、岩も乾いているので、特に問題はない。III級程度の岩場の手前で、ビブラム靴からフラットソールに履き替えていると、テールリッジ末端に後続パーティが見えてきた。
後続には追いつかれることなく、一番乗りで中央カンテ取り付きに到着(5:55)。後続のパーティーは変形チムニーを攀じるとのこと。
我々と、後続の変チ組の他には、まだ誰もいない。6:00登攀開始。
1P目(たけのうち)
左に大きくトラバースして、顕著な凹角を気持ちよく左上。浮き石が多く神経を使う。
2P目(おーしま)
谷状になっている部分を左上。トポには「落石の巣」とあったが、確かに全ての落石が集まりそうな形で、しかも脆いので、中央カンテのビレイ点までサッサと抜ける。
<2P目、落石の巣に突っ込む特攻隊員1号、おーしまさん>
3P目(マタギ)
3P目と4P目がルート中のルート名由来のカンテ部分を登るハイライト。フェースを快適に登る。
<岩の弱点をついたいいルート!>
4P目(たけのうち)
カンテは傾斜がきつくなってくるが、岩は比較的安定しているので極楽フェース。楽しんでリードできる。
変チのトラバースピッチが合流するバンド部分で2人をビレイ。
5P目(マタギ)
1つ目の核心部。チムニーは教科書的なバック・アンド・ニーで登る。チムニーの後、少し登ってビレイ点。
<リードするマタギさん>
6P目(おーしま)
目の前に覆い被さる垂壁を左から回り込む。簡単。
眼下には南稜を登るパーティが2組。
<ルート上から南稜テラス~1P目のクライマーを望む>
7P目(マタギ)
核心部。前半の垂壁は、ホールドが無く、今にも切れそうなお助けシュリンゲを使って力ずくでA0して越える。
後半のカブリ気味のクラックは、ナッツとシュリンゲが残置してある。岩は堅く安定しているので三人三様で越える。マタギさんはレイバック&一手をA0、おーしまさんはアブミでA1、僕はステミングで挑戦。右足を一カ所A0してクリア。
<アブミチャレンジのおーしまさん>
8P目(たけのうち)
マタギさんが四畳半テラスの直前でピッチを切ったので、まず右上して四畳半テラスまで行ってから脆いフェースを左上。
<8P目、最後は草付き>
9P目(おーしま)
傾斜が緩くなったところで左へトラバース気味に高度を稼ぐ。
10P目(マタギ)
草付き登りは飽きて来るが、その後の凹角がチョー楽しい。烏帽子岩の基部でビレイ。
<10P目の出だし>
<相模ACのチョイワルおやじ達(笑)>
<とりあえず喜びを全身で表してみる、おバカな僕>
11P目(たけのうち)
烏帽子岩の基部を左に回り込み、一旦下ってルンゼを横断。全く難しくないが、ロープが岩角に引っかかって重くてバランスが取れなくなる上に、ボロボロの脆いルンゼなので、落石を起こさないよう注意を払っているのでとっても疲れるピッチ。支点も腐っていて、全く信用できない。
「最後のピッチは、たけちゃん締めてよ」と言う言葉を受けて、前の10P目をマタギさんに譲ってしまったのを激しく後悔(笑)。
<頭上の烏帽子岩。落っこってきそう・・>
クマザサに埋もれたハーケンを探し出してビレイ。
終了点からはクマザサの踏跡を少し登って5ルンゼの頭からの踏み跡と合流して終了(13:00)。
変チ経由で登ってきたパーティもまもなく到着。
登攀時間7時間。3人でロープの結び換えが多かったので、まあしょうがないところか・・・
<不敵な笑みを浮かべるヤブコギ職人>
下降はクマザサにA0をカマしながら、微妙なクライムダウン。途中から25mx2Pの懸垂下降で、南稜の終了点&6ルンゼの頭に到着。6ルンゼを南稜の馬の背まで下り、南稜3P目の笹ヤブ経由で南稜テラスまで降りる(16:00)。
懸垂下降中にヘリコプターが何台も幽ノ沢方面の霧の中に消えていった。何かあったのだろうか・・・
自分たちよりもずいぶん遅く取り付いた南稜パーティはすでに全員降りた後。南稜の2倍の中央カンテの長さを実感。
中央稜取り付き(16:30)を経由して、テールリッジを下降、ヒョングリは高巻きせずに左岸をトラバース。
<ヒョングリの滝をフィックスロープで下降>
17:35一ノ倉沢出合着。遅くなったのでギャラリーややたらルートに詳しい望遠鏡オジサンも既にいなくなっていた。
テン場に戻り速攻でガチャの整理とテント撤収し湯テルメへ(19:00)。
高速を飛ばし、マタギさん、おーしまさんを送って、23:55自宅着。
カミさんは待っててくれました。結婚記念日のお祝いのメッセージとゴメンねを言って、バタンキュー。
今回はリーダーであるマタギさんの要所要所の状況判断や細やかなフォローがとっても勉強になりました。
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